肉体的苦痛の中で「今」に集中する
我慢系ストレスのトレーニングでは、肉体的苦痛に耐えながらも「今」に集中することが求められます。
「きつい!つらい!」という雑念を放っておいていかに「今」に集中できるかがカギとなります。
回避できない困難な状況に耐えることで、落ち込みや不安といった「心理的ストレス」に強くなります。
アスリートには、度々こうした状況が訪れます。例えば、スタミナがロスして、「もう止めたい…あきらめようか…」という思考が頭に浮かんできた時などです。
人間の身体は肉体への負担を考慮して、実際の肉体的な限界より手前でそのシグナルを脳に伝えるといわれています。
つまり、肉体より心の方が先に折れてしまうというわけなのです。
そのリミッターを外して、限界を突破するために、筋トレ時にパーソナルトレーナーをつける方が多いのです。
アスリートのみならず、ビジネスパーソンにとってもタフさは必要不可欠です。
目標達成能力が高いビジネスパーソンとそうでないビジネスパーソンの決定的な違いは、間違いなく「あきらめない心」「やり抜く力」の強さの差ではないでしょうか?
こうしたタフさは、安静空間でのトレーニングでは得られない能力なのです。やはり、実戦現場同様、タフな状況下でのトレーニングが必要になってきます。
我慢系ストレストレーニングは、ストレスに耐えながら「今」に集中するトレーニングです。
具体的には、肉体的にハードな状況をつくり、「きつい!つらい!」という雑念を放っておいてマインドフルネスな状態を維持するトレーニングです。
これには肉体的にハードなポーズが数多く存在し、なおかつ心身の変化を客観視しながら行うヨガがお勧めです。『最先端科学×マインドフルネスで実現する 最強のメンタル』では、伝統的なヨガの中でもハードなクンダリーニヨガのテクニックをご紹介しています。
クンダリーニヨガは、そのハードさから筋トレのごとく、肉体が鍛えられます。しかし、クンダリーニヨガの神髄は、人間の生命力、潜在能力に関わる気のエネルギーを格段に高めてくれるところにあります。
人間がなにか行動を起こすには、エネルギーが必要です。やり抜く強い意志はもちろんのこと、リラックスするにも実はエネルギーがいるのです。実際、人間の睡眠時と起きている時の代謝量はほとんど変わりません。
つまり、眠るにもそれなりにエネルギーを要するのです。
暑い日にクーラーをつければ部屋は涼しくなります。しかしその裏側、つまりクーラーの方では相当な熱エネルギーが発生しているのです。
人間の身体もこれと同じで、自分自身を癒やすにもエネルギーがいるというわけなのです。
ビジネススキルやスポーツスキルを習得することは、様々な場面においてきっと役立つことでしょう。しかし、それらはあくまでもアプリケーションソフトなのです。それを使いこなすのは人間自身であり、人間をハードに例えるなら、人間自体を鍛え、アップデートさせていく必要があるのです。