インフレ目標は「2%」には
根拠がある

 先日のダボス会議(「世界経済フォーラム」)の黒田日銀総裁が出席したセッションで、こんなやり取りがあった。

 ダボス会議は、経済の専門家らも討議を聞いいる。フロアから、「インフレ目標は2%がいいのか」という質問があった。

 これに対して、黒田総裁は、

 <インフレ目標の物価統計には上方バイアスがあるので、若干のプラスが必要なこと、ある程度プラスでないと政策の対応余地が少なくなること、先進国間の為替の変動を防ぐことなどの理由で、先進国で2%インフレ目標が確立されてきた。>

 と答えた。

 国会答弁ならこれでいいのだが、ダボス会議ではこれでは通用しない。会場には妙な空気が流れた。

 「正解」は、

<インフレ目標は、フィリップス曲線上でNAIRUを達成するための、最低のインフレ率である。日本では、NAIRUは2.5%程度なので、インフレ目標は2%。これ以下だと、NAIRUが達成できずに失業が発生する。これ以上だと、無駄なインフレ率で社会的コストが発生する。>

 だ。日本でも国会は、日銀総裁らに「日本のNAIRUはどの程度なのか」と質問したらいいだろう。これが答えられないようでは、中央銀行マンとして失格ということだ。

 図表1で示したことは、先進国で共通だ。

 アメリカでは、NAIRUは4%程度、インフレ目標は2%だ。

 現在、アメリカの失業率は4.1%、インフレ率は2.1%なので、ほぼ最適点。その上で、トランプ政権は大減税しようとしている。それは経済を右に動かす、つまりインフレ率を高めるから、FRBが金融引き締めするのは理にかなっているのだ。