呼び水となった
“第2慶應幼稚舎”
東急田園都市線と東横線は富裕層が多く住むことで知られ、神奈川県と東京都の私立中学、高校受験者の3割以上はこの沿線住民が占めるのではないかといわれる。
田園都市線あざみ野駅のある横浜市青葉区あざみ野は高級住宅地として知られる。
しかも隣接するあざみ野南には、来年4月に慶應義塾横浜初等部、いわゆる第2慶應幼稚舎が開校予定で、着々と進む工事に周辺住民の期待も高まるばかりである。地元住民は言う。
「あざみ野第一小学校は2月の入試の日にはクラスの8割強、黒須田小学校でも5割がいなくなる。両校とも給食費未納がゼロなので、予算が余ると給食にアイスクリームやステーキが出る。『私立中学に落ちたらここに行け』といわれるあざみ野中学は神奈川県下でもトップクラスの実績で、地元では『名門あざ中』で通じる」
地元の不動産業者によれば、「慶應横浜初等部に歩いて通える条件での分譲・賃貸物件の問い合わせが何件もある」という。この近くでは東急不動産が1億円前後で新築戸建て住宅を分譲しているが、横浜初等部に通わせるような家庭には安過ぎるのだろうか。近隣住民は土地の値上がり期待に喜んでいるというから、慶應バブルがふくらみ始めたというわけだ。
慶應幼稚舎は合格すること自体が宝くじに当たるようなものだし、受験勉強も特殊だから、近隣の塾にはそれほど恩恵はなさそうだが、慶應のお膝元として、初等部受験を売りにする塾もいずれ現れることだろう。
さらにあざみ野駅から横浜市営地下鉄で2駅のセンター北駅の近くには一昨年、中央大学系列となった横浜山手中学・高校がある。こちらは今年から募集開始で、地元の教育熱は高まるばかりである。