2月13日、ギリシャ議会はユーロ圏諸国や国際通貨基金(IMF)からの第2次金融支援を受けるべく、追加的な歳出削減の関連法案を成立させた。大規模な公務員削減や賃金カットなど、痛みを伴う改革に反発する国民の抗議デモはギリシャ全土に広がっており、混乱は収まりそうにない。
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「マラガス!」
いまやギリシャ人の口癖といっても過言ではないこのセリフ、「ろくでなし」という意味だ。ギリシャ第2の都市、テッサロニキの市街地で「パパデモス新首相についてどう思うか?」と聞いて回ると、ほとんどがそう口にしたのが印象的だった。
非公式EU首脳会議を終えた直後の2月初旬、危機に瀕するギリシャを歩いてきた。
昨年11月の就任当初は「賃金や年金は引き下げない」と宣言、国民の期待も絶大だったパパデモス首相だが、いまや独仏などユーロ圏諸国に歩み寄り、財政破綻を避けるべく痛みを伴う緊縮策を推し進めそうなだけに、国民の支持を失いつつあるようだ。
その一方で、国民生活はさほど苦しそうには見えない。
夜のアテネはにぎやかで、ギリシャ料理レストランに老若男女が集い、伝統的なギリシャ音楽の生演奏を楽しむ。さんざん酒を飲んで踊った揚げ句、「またね、ヤポニカ(日本人)!」とクルマを運転して帰っていった彼らは、欧州金融支援の中心をなす欧州金融安定化基金(EFSF)の資金のうち、約2割は日本政府が支援していることなど知る由もない。
ちなみにギリシャの1人当たり国内総生産(GDP)は2万1179ユーロ(2009年)、EU27ヵ国の平均2万3727ユーロを若干下回る程度で、決して低くない。昨年8月、ギリシャ向け第1次金融支援に不参加を表明して注目を集めたスロバキアの場合、これが1万1726ユーロとギリシャの約半分にすぎないのだから、反対する気持ちもわかる。