さらに、さまざまな吹奏楽の先生方の指導を足しげく通いながら勉強し、それを試行錯誤しながら実践していくうちに、現在の藤重流の指導法を確立していきました。

精華女子高校では、全日本吹奏楽コンクールに19回出場して金賞10回、全日本マーチングコンテストに16回出場してすべて金賞という結果を収めることができましたが、これも当時の生徒たちの努力の結果だと思います。

2015年、精華女子高校を定年退職した私が、新たな挑戦の舞台に選んだのが、長崎県の活水学院でした。
活水学院は、大学(活水女子大学)に創立時から音楽学部があるほど音楽教育に力を入れている学校ですが、当時の活水高校の吹奏楽部は部員が20人程度。奏者がいない楽器も少なくありませんでした。赴任当時は、過去数年は吹奏楽コンクールに出場すらできなかったところからのスタートでした。

少し前まで雨が降れば休みだったバンドが、平日は午後8時まで、週末は朝8時から12時間の練習をすることになりました。そのための生徒たちの意識改革だけでも大変でしたし、学校や保護者の理解を得るのも容易ではありませんでした。

生徒たちを引っ張っていくには、チャンスを与え、ほめ、成功体験を実感させる、音楽の楽しさやチームでの達成感を知ることで、本番に向けて一丸となって厳しい練習に取り組むことができることを改めて感じました。

活水学院赴任後、初年度(2015年度)に、長崎県大会、九州大会を突破し、全日本吹奏楽連盟が主催する全日本吹奏楽コンクールに初出場することができました。
2年目(2016年度)には、大学生も加えたオール活水学院バンドで、マーチングバンド全国大会(埼玉スーパーアリーナ)に出場しました。
また、3年目(2017年度)には、二年連続となったマーチングバンド全国大会にくわえて、全日本吹奏楽連盟が主催する全日本マーチングコンテスト(大阪城ホール)にも、初めて出場することができました。

しかし、指導法にいわゆる「絶対的な正解」などはなく、目の前の生徒は、毎年毎年、そして一人ひとり違います。したがって、いかに一人ひとりと向き合っていくかが大事だと私は考えています。

特に、吹奏楽のようなステージパフォーマンスは一回限りのいわば瞬間芸術です。高い技術力と集中力が必要で、本番だけ頑張ろうと思っても難しく、日頃のトレーニングが大切です。

1回より10回。
10回より100回。
100回より1000回。

トレーニングの積み重ねによって基礎力が身につき、基礎力のあるなしによって、そのパフォーマンスは格段に違ってきます。したがって、妥協しない気持ちがいかに大事なことであるかを、これまでの指導経験も含めて実感しています。