笑顔は心のビタミン
~人間は「笑顔」のために生きている
「笑顔は心のビタミン」
私がいつも生徒にかけている言葉です。
笑顔がない生活は、心に余裕がなく、閉塞感をもたらします。
笑顔がある生活は、人間同士の信頼を生み、自然と心も弾みます。
しかめっ面をした状況で、いつも怖がって、「誰かに注意されるのではないか」「誰かに怒られるのではないか」と怯えていては、笑顔は生まれません。笑顔が自然に生まれる環境をつくるのも、指導者の役割です。
ほめられたときの生徒が喜ぶ笑顔。何かをつくり上げたときの達成感のある笑顔。誕生日や入学式、卒業式といったお祝いでの笑顔。まさに、人間は笑顔のために生活しているといっても過言ではありません。
コンサートでソリストがまず観客に向ける表情は、優しさをたたえた微笑みです。
そして演奏を終え、万雷の拍手を受けるときのソリストも、また笑顔です。そして観客も、素晴らしい音楽に出合えたことに対して笑顔になります。
笑顔こそ平和の象徴であり、人間らしい感情です。楽しさや喜びから出る笑顔は、人間の活力になるのです。
人生にはネガティブなこともたしかにあります。そんなときこそポジティブに、笑顔で過ごしてみたらどうでしょう。
失敗は成功のもと。失敗しなければ成功はないし、その先の笑顔もありません。
「ほめる」から「気づく」
「藤重先生は、生徒をよくほめますね」
練習を見学に来た方から、こんなことをよく言われます。
「徹底的に、ほめて育てる」
確かにこれが、私の特徴かもしれません。しかし私は決して、「無理やりほめる」ということをしません。嘘を言っても仕方がありませんし、生徒たちはすぐに見抜きます。
ちょっとでも上達したらほめる。笑顔が素敵だったらほめる。昨日より積極的に練習に参加したらほめる。歩き方が活き活きとしていたらほめる。このように、何かいいところがあったときにほめています。
「なぜ、そんなにほめるんですか?」
と、ある指導者の方に言われたので、私は思わず、こう返してしましました。
「なぜ、ほめないんですか?」
1日練習をすれば、どんな生徒でも必ず、1つは上達したポイントがあるはずです。そのポイントを見つけることができないのなら、指導者とはいえません。そして、見つけたうえでそれを褒めないのなら、それもまた、指導者とはいえません。
ただ、100人を超える生徒を指導していると、毎日、全員の細かな上達に気づいてほめるのは、正直言って難しいものがあります。1日の中で、「この子はほめた」「この子はほめなかった」というムラが、どうしても出てきてしまうのです。
たった1日だけだったらまだしも、そのムラが何日も続いてしまうと、「私はこんなにがんばっているのに、先生は全然ほめてくれない。いつもあの子ばっかりほめる」という感情を生徒に抱かせてしまいます。これが、多くの指導者が陥りやすいところです。