私はそのムラを最大限に減らすために、ふと時間が空いたときは、生徒たちの写真を見ることにしています。
一人ひとりの顔を見ながら、「この子は今日ほめたな」「この子は、ここ2日くらいほめていないかもしれないな。今日は注目して見てみよう」と確認をするのです。

人間、がんばりを認めてほめてもらえると、嬉しいものです。もっとがんばろうと思えます。
「いつもあなたのことを見ているよ。がんばっているね」と伝えるだけで、練習はどんどん楽しくなり、結果として上達のスピードも上がります。

「役割」を成し遂げるため自分を成長させる

私は、活水にとどまらず、長崎県全体、九州全体の音楽文化を発展させるための役割も担いたいと思っています。活水に赴任してからは、次のようなイベントを立ち上げました。

・ながさきポップス&ジャズフェスティバル
・NAGASAKIブラス&マーチングフェスティバル
・エンジョイ ステップアップ バンドクリニック
・吹奏楽コンクール課題曲講習会
・ふれあいコンサート
・フレンズナイン・ショーケース
・ながさきドリームブラスコンサート
・新譜コンサート

また、時間があれば3ヵ月ほどアメリカ留学をしたいとも考えており、まだまだやりたいことは尽きません。

そこでよく「藤重先生よく時間ありますね?」と言われますが、少しでも長崎や全国に音楽文化を広げたいと考えていますので、これから先も立ち止まることはないでしょう。

一つのところにとどまらず、常に動き続けるのが私の性格です。
じっとしていることができない、落ち着きのない性格ともいえるでしょう。しかし、動き回ることで次々に出会いが生まれ、刺激を受けることができます。「こんな考え方があるのか」という新たな視点とも出会え、吸収することができます。

私の落ち着きのない性格も、捨てたものではありません。

教員や音楽家同士をつなげ、仲間づくりをする。そしてそれを生徒の成長に活かす。役割を限定せず、常に「生徒の成長」のために尽力する。私はそこに幸せを感じています。

これが私の今の「役割」なのです。

藤重 佳久(ふじしげ・よしひさ)

活水学院吹奏楽団音楽総監督。活水女子大学音楽学部特任教授。
福岡県久留米市出身。武蔵野音楽大学音楽学部器楽学科卒。在学中より東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の一員として活躍。1979年より精華女子高等学校教諭。2008年に全日本吹奏楽連盟より長年出場指揮者表彰を受ける。また、09年には文部科学大臣優秀教育表彰を受ける。その後、15年より現職。
指導者として、「全日本吹奏楽コンクール出場20回のうち金賞10回」「全日本マーチングコンテスト出場16回すべて金賞」「高校吹奏楽部としては異例となるメジャーデビューならびにデビューCD『熱血! ブラバン少女』が第29回ゴールドディスク大賞『クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー』を受賞」(以上、精華女子高校)、「就任1年目で全日本吹奏楽コンクール出場」「2年目には中学生から大学生までの混成バンドでマーチングバンド全国大会に出場」「3年目には全日本マーチングコンテスト出場」(以上、活水学院)など実績多数。
また、長崎県の音楽シーンを盛り上げるべく「ながさきポップス&ジャズフェスティバル」「NAGASAKIブラス&マーチングフェスティバル」「スーパーミュージックキャンプin九州」「ながさきドリームブラスコンサート」などの実行委員長を務める。
「世界一受けたい授業」「1億人の大質問!? 笑ってコラえて!」(以上、日本テレビ系)「めざましテレビ」(フジテレビ系)など、テレビ出演多数。くわえて、FM長崎「ジョイブラス」パーソナリティとしても活躍。