観光客は集まれど
一銭にもならない

 狐面などのグッズ販売や、希望者には500円で狐メイクを施すなど、多少の「商売」をしている実行委員会にも景気のいい話はない。確かに、ともに外国人観光客が飛びつき、長蛇の列ができることもあるというが、それも大晦日の数時間限定で、大きな売り上げにはならない。

「JR東日本や東京メトロ、それに地域企業から協賛もいただいていますが、運営はいつもカツカツ。狐面の売り上げで、どうにか費用をまかなっているくらいで大変ですよ」(横田理事)

 だが、その一方で年々、参加希望の外国人観光客は増えてくる。注目度が上がる一方で、さしたるメリットはなし。これでは、「無給」でイベント対応にあたる地域有志の中からやめたいとの声が上がってくるのも当然だ。別の商店主も同じく「インバウンド対応疲れ」を口にした。

「最初は商店街のみんなや地域の人たちが楽しむために始めたイベントだったけど、なんだか今では仕事みたいになってきちゃった。大晦日にすごく忙しくて正月もずっと後片付けで、一銭にもならない“仕事”なんだから、これは辛いよね」

 地域の人々が「主役」で始まったイベントが、時代の流れでインバウンド対応を強いられ、いつのまにやらその「主役」たちが疲弊していく――。これが、マスコミが持ち上げる「外国人殺到の人気イベント」の現実なのだ。

 では、いったいなぜこのような問題が起きてしまったのだろうか。いろいろなご意見があるだろうが、筆者は日本の観光整備や情報発信の不十分さが引き起こした「人災」だと考えている。

 本来、外国人観光客に足を運んでほしいところに送客できておらず、むしろ外国人観光客にそこまで来てもらわなくてもいいというところに、頼んでもいないのに多くの客が押しかけてしまう、需要と供給のミスマッチが起きてしまっているのだ。