ギリシャの「無秩序なデフォルト」は、ユーロ圏の会合が延々と行われた結果、何とか回避されたようになっています。
ではこのあと、ユーロや豪ドルがどうなるのかについて、今回は考えてみたいと思います。
そして最後に少し米ドル/円についても述べます。
2割以上も上昇した
NYダウと豪ドル/円
「資料1」は、2011年9月以降のNYダウの推移を見たものです。
「資料1」を見ると、代表的なリスク資産である米国株(NYダウ)は、2011年10月初めから4カ月以上かけてすでに2割以上の上昇となったことがわかるでしょう。
つまり、欧州債務不安とか、ギリシャ・デフォルト不安がくすぶっていた中でも、実際にはリスク資産選好、リスクオン相場が4カ月以上続いてきたということになるわけです。
ところで、そんなNYダウと、代表的な資源国通貨という意味で、やはり為替のリスク資産である豪ドルの対円相場を重ねたのが「資料2」です。
豪ドルも対円でこの4カ月の間に約2割の上昇となったわけですが、それはNYダウとほぼ重なり合う動きだったことがわかるでしょう。
この4カ月間、
ユーロはむしろ脇役だった
今度は、そんなNYダウにユーロ/円を重ねてみたのが「資料3」です。
「資料3」を見ると、ユーロも2011年11月まではNYダウとある程度似た動きとなっていたのですが、2011年12月以降は両者の動きが大きくカイ離したことがわかるでしょう。
以上の3つの資料からわかることは、金融市場全体としては、米国景気の回復を受けて、2011年11月から緩やかなリスクオン相場がすでに4カ月以上かけて広がってきたのですが、その中で欧州債務不安を抱えた結果、ユーロが特殊な動きになっていたということでしょう。
その意味では、この4カ月の金融市場の主役は米国景気の回復だったと言えそうです。そして、一般的にはもっとも注目を集めた感じになっていたかもしれませんが、ユーロはむしろ「脇役」だったということではないでしょうか?
要するに「ユーロ抜きのリスクオン相場」ということです。
豪ドルがこれ以上
買われるのは難しい
このように見てくると、「資料4」はとても理解しやすいでしょう。
「資料4」は、CFTC統計の豪ドルのポジションですが、経験的にはかなり買われ過ぎの警戒域に入ってきたことがわかるでしょう。
それは、これまで見てきたように、「ユーロ抜きのリスクオン」が、すでに4カ月以上も続いてきたことからすると、当然と言えそうです。
リスクオンがすでに4カ月以上も続き、豪ドルは経験的な買われ過ぎ警戒域に達していることを考えると、ギリシャ危機を凌いだからといって、さらなる一段のリスクオン拡大につながるということは論理的に考えにくいでしょう。
もちろん、勢いづいた動きが続く可能性はあるかもしれませんが、あくまで「誤差の範囲内」なのではないでしょうか。
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