経営×経理

上司に必要なのは
部下への信頼と具体的なねぎらい

 次に経理部の上司に求められるコミュニケーションを考えていきます。とかく正確でスピーディな処理ばかりが求められがちな経理部員ですが、上司は把握している新企画や他部署における今後の行動などを早い段階で部下に伝えることで、部下が効果的な仕事をすることができます。

 まずは、部下を信頼して、より良い仕事をしてもらうために経営会議での決定事項や計画などを適切に部下に浸透させることが大切です。そして、部下がわずかでも、部署の収益・利益・会社全体のコスト削減に繋がるような貢献ができていたら、「あなたがまとめた資料のおかげでこのプロジェクトの採算性が見えてきた」「あなたが○○を企画してくれたおかげで、○%のコスト削減が実現できた」など、具体的にどのステージで、どのくらいの効果があったのか、しっかりと伝えることも重要です。

 経理部員はデスク上での仕事のみならず、昼休みのランチの場や化粧室など、職場以外でも他部署の社員との繋がりがあります。そこではプライベートな会話や部署間の何気ない情報交換が中心なのでしょうが、上司が知り得ないところで上層部が把握していない部署の実情を掴んでいたり、問題・課題を把握していたりする可能性が高いものです。中には放置していれば大きな損失に繋がるかもしれないケースすらあります。そのような事態を部下が上司に適切に報告するような関係性を築くには、双方間でコミュニケーションが取れていることが重要です。

 企業では人の活動により売り上げが計上され、コストが発生します。その過程で人の感情・心に響くコミュニケーションを取ることによって、それらの数値は増減します。実働部隊にあたる経理部員を信頼し、不足なく情報を伝えることは上司が持つべき当然の資質といえます。

(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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