身勝手社員がプロジェクト放置のまま転職、取引先喪失の危機を乗り切れるか仕事中にプロジェクトを放置しながら転職活動を進め、引き継ぎもせずに退職する身勝手社員とトラブルになったことはないか?(写真はイメージです)

取引額が大きいプロジェクトを担当している社員が、家庭の事情で休暇を取得。一方、彼のプロジェクトの進捗は3ヵ月も遅れており、上司(部長)は心配していた。ところがその後、社員は部長に退職を申し出る。同期の証言もあり、彼の調査をしたところ、就業時間中に転職活動をしていたり、会社の悪口を書き込んだりしていたことが発覚し、部長はショックを受ける。さらにこのプロジェクトの納品先から、契約をライバル会社に変える話が……。部長はこの状況をどう乗り越えるのか?(特定社会保険労務士 石川弘子)

W社概要
創業13年目のシステム開発会社。法人の社内システムの設計・構築を請け負い、右肩上がりの成長を続けている。従業員数は80名で、社員の平均年齢は32歳と若い。
登場人物
植田部長:創業時からW社で働く技術部長。35歳男性。技術力には自信があるが、優しすぎる性格のため、部下に注意をすることが苦手。その半面、温厚な性格なので、周囲からは慕われている。
有田:大学卒業後、新卒で入社した20代男性。技術部に配属。外面がいいので、取引先からも評判は上々。入社4年目でリーダーに抜擢された。
徳井:有田と同期で、営業部に所属。有田とは仲がいい。

すでに遅れているプロジェクトのリーダーが
家庭の事情で休暇の申し出

 すみません、実家の親が癌で入院するので、急ですが1週間休みます。

 1月下旬、技術部の有田から植田部長の携帯にメールが入った。植田は、有田がプロジェクトリーダーを務めている案件について、既に3ヵ月も遅れていることを思い出し、ため息をついた。だが、家庭の事情であれば仕方ない。

 そうか。お大事に。こちらで何かフォローできることはあるか?

 植田が返信をすると、有田からこう返されてきた。