こうした背景を踏まえ、年金財政の改善、および少子高齢化や人口減にともなう労働力不足解消を目指す政府は、高齢者の働き方をめぐる新しい枠組みを設定しようとしている。

 今年2月に閣議決定された「高齢社会対策大綱」では、60?64歳の就業率を現状の63.6%(2016年)から2020年に67%にまで引き上げる目標を掲げている。そして、65歳以降も働き続けられる環境を整えるとともに、年金の受け取り時期を70歳以降に遅らせることができる制度見直しの検討を始めるとしているのだ。

 となると、65歳まで引き上げられている年金給付開始年齢が、将来的には、さらに70歳に引き上げられる可能性もないとはいえないだろう。だとすると、高齢就業拡大の傾向が、さらに高年齢に波及しながら、今後も継続していくことになるだろう。

 このように考えていくと、男女の高齢就業が上昇に転じる契機となった、「高年齢者雇用安定法」の施行年である2006年が「高齢就業元年」だったと、歴史的に振り返られることになる可能性が高いのではないだろうか。

日本は主要先進国の中で
高齢者が最も働いている国

 最後に、日本の高齢者の労働力率は、諸外国と比較して高いのか低いのか、また、日本の高齢就業拡大の傾向は海外にも見られるのか、という点を国際比較によって確認してみよう。

※図3

日本は主要先進国の中で最も高齢者が働いている国だ©本川 裕 ダイヤモンド社 禁無断転載  拡大画像表示

 図3は、主要各国の60~64歳、および65歳以上の男性の労働力率の推移を1960年から追ったものだ。