カジュアルとフォーマルの境目は?
Cさん とはいえ、メールでは敬語や謙譲語をあまり過度に使うと鬱陶しいと思われませんか?
岩瀬さん おっしゃる通りです。「○○様におかれましては、たいへんお忙しいところ恐縮ではございますが~」などと、そこまでていねいにメールを書く必要はありません。服装にたとえると、燕尾服を着て蝶ネクタイをしめなさいと言っているわけではないのです。通常のスーツ、あるいはビジネスカジュアルぐらいの服は着ましょうというイメージです。
Cさん なるほど、わかりやすいです。メールの文がかしこまりすぎていると言われたり、飲み会の席ではなれなれしいと言われたりして、カジュアルとフォーマルの境目がわかりません。
「中間の敬語」というのはありますか。
岩瀬さん 慣れるまでは戸惑うことも多いでしょう。かしこまりすぎているという印象につながるのは、尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い分けがあやふやである可能性があります。メール文の語尾をすべて「~ございます」と書けば、しつこい、硬い、かしこまりすぎという印象を与えます。
謙譲語の「いたす」を過剰に使う人も多いので注意が必要です。
飲み会などのカジュアルな場では、いきなりタメ口にならず、丁寧語(ていねいな表現)を使いましょう。「どっちに座らせていただければよろしかったでしょうか?」ではなく「どちらに座ればよろしいですか?(もっとカジュアルな会社であれば「どちらに座ればいいですか?」も可)」。
『入社1年目の教科書 ワークブック』には、これだけ覚えればOK!の尊敬語、謙譲語、丁寧語の使い分け一覧表がありますので、しっかりマスターしましょう。
Cさん 使い分けをマスターして、あとは実践の場で練習あるのみ!ですね。やってみます。
※『入社1年目の教科書』の50のルールルール33「敬語は外国語のつもりで覚えよ」の本質が理解できました。
次回は、初出社で一番気になること、「遅刻」についてお伝えします。気持ちよくスタートを切るために、まず気をつけたいこととは? お楽しみに。
(2018年4月2日更新予定)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。