狙っていた女性客ではなく
中高年の男性客に“刺さる”

 その後、ポイントカード「Ponta」の購入履歴を調べると、1人の客が2回以上ブランパンを買う割合は46%。メロンパンやカレーパンなどオーソドックスな菓子パンでも20%程度であり、ローソンが扱うパンの中では断トツに高い。また当初はダイエットしたい若い女性をターゲットにしていたが、実際には血糖値を気にしがちな中高年男性が買っているケースが多いことも分かった。

 もっとも、販売個数は少なく、社内には販売をやめようとの声もあった。だが、健康志向の強化というトップの意向や、「販売をやめないでほしい」といった客の声を受けて継続が決定。13年には味を改善し、テレビCMを放映したところ、販売個数が前年の3.5倍に増えるなど人気に火が付いた。

 その後は、糖尿病患者から「夢の食べ物」といわれるあんパンを、小豆の皮から風味を抽出することで糖質を抑えて実現し、14年に発売。15年には人工甘味料の使用をやめ、より自然な味わいに近づけるなど改善を重ねている。

 村田は17年9月でベーカリー担当を離れ、紙パック入り飲料の開発担当に転じた。後任の柴崎誠はブランパンの人気が出始めた当時、店舗の経営支援をするスーパーバイザーの職にあった。とりわけ大型病院内の店舗では、患者や病院関係者から「こういうパンが売られていて助かる」と感謝の言葉を掛けられることが多かった。

 世間で糖質への関心が高まるにつれて、街中の通常の店舗を運営するフランチャイズの加盟店オーナーからも「通常のパンをブランパンに変えて棚に並べると、パンの売り上げが2割増える」と言われ、仕入れを強化したいと要望されたこともあった。

 そんなブランパンの開発に携わることになり、「何かの縁を感じる」と柴崎は言う。今ではブランパンはプレーンタイプから焼きカレーパンまで十数種類そろっており、「極端なリニューアルをすると、本来の健康志向が薄れてしまう」と、開発担当としてのジレンマも感じている。村田が生み出した独自の人気シリーズに、柴崎は今後、どのように磨きをかけていくのだろうか。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

写真提供:ローソン
【開発メモ】ブランパン
  小麦を中心に、コメや大麦など穀物の外皮をブレンドして焼いたローソンの独自商品。糖質の低さや食物繊維の多さが特徴。チーズ蒸しパンやチョコクロワッサンなど種類も豊富だが、チーズやバターの味付けを工夫して、糖質の低さと風味のバランスを取っている。プレーンタイプは、ブラン特有の香りがむしろ味わいとなっている。