グリーやDeNAが出てくる余地はなかったかもしれない
熊谷 フジテレビの買収が成功していたらという「イフ」の話をすると、まず、堀江さんは選挙に出馬していなかったでしょうね。仕事が楽しくて楽しくてたまりませんから。
Yahoo!以上のアクセス数を持つポータル・サイトと、圧倒的な影響力を持つテレビ・メディアというふたつの巨大メディアを自由に使うことができるわけです。当時、すでにライブドアは日本一のトラフィックを持つブログやスカイプなどの「SNS・通信インフラ=人」、セシール等の「通販インフラ=物」、電子マネー会社、証券会社、設立間近のライブドア銀行などの「金融決済インフラ=金」を抱えていました。おそらく、ふたつの巨大メディアを駆使し、「人、物、金」の大きなトランザクションがライブドア・グループ中心に生み出され、そこに介在するライブドアは莫大な収益を上げていたと思います。
グリーやDeNAが出てくる余地はありませんでしたし、仮に出てきたとしても、簡単に呑み込んでいたでしょう。テレビというデバイスも日本発で大きく進化を遂げていた可能性があります。グーグル・テレビやアップルのiTVが志向しているものを、家電メーカーを巻き込んで進めていたでしょう。今頃は、テレビに、AppleのAppStoreみたいなものでアプリをダウンロードして、ゲームをやったり、ニコ動アプリのようなもので動画見たりしていたと思います。
藤沢 ホリエモンが大手テレビ局のトップになるのは見てみたかったなあ。今はじり貧のテレビ業界ですが、ライブドアがフジテレビの親会社になっていれば、日本発の新しいサービスがいろいろ生まれていたかもしれませんね。
熊谷 ところで、フジテレビとの和解交渉は、ニッポン放送の大量買付けの数週間後から、水面下で私とフジテレビの当時の執行役員の間で進めていました。毎日のようにお会いし、お互いの妥協点を探っていたのですが、このときに武器商人たちが強烈なセールスを仕掛けてきました。
藤沢 武器商人といいますと?