さらに悪いことに、いかに人為的につくられた基準だったとしても、想定外のことは「起こらない」と本気で信じる、楽観的な都合のよい思考回路を日本人は持っています。
これは、「空に国境なし」といわれる現代の日本で、H1N1インフルエンザが発生したとき、「どうやって日本に入ったのか!?」と本気で議論を始める専門家集団に代表されるものでしょう。
予期せぬこと、すなわち、科学的根拠のない楽観主義に基づいた、想定以外のことが起こると、政府は容易にパニックを起こします。パニックを起こせば、「今そこで何が起こっているか」という情報を正確に把握することができなくなります。
そして、発信される情報は、支離滅裂で、国民は「どの情報を信じたらいいのかわからない」といった状況に追い込まれるのです。
私は、日本の健康問題に対する危機管理は何も変わっておらず、次にまた何かが起これば、今回と変わらない対応をするであろうと思います。しかし、そうした状況が何回も繰り返されるうちに、日本という国は滅んでしまうのではないかという危機感を強く持っています。
これ以上、日本を危険にさらさないためにも、今回の原発事故は決して忘れてはならないことなのです。
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政府が定める「安全」は
本当なのか?
厚生労働省内で戦うキャリア技官の木村盛世氏が、福島原発事故による危機管理、厚生行政の不備 を明らかにする。問題は原発事故後の放射線被害だけでなく、新型インフルエンザ、口蹄疫、BSE、薬害肝炎、薬害エイズなどと同様に、おそまつな危機管理 体制がさらなる危機をつくりだしている。疫学の専門家の視点から、日本の安全を守るための方法も提言。
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