石油元売り最大手、JXTGエネルギーの特約店の間で、怒りと困惑が広がっている。同社が特約店に対して、配送料を値上げする通達を出したからだ。関係者は年末から供給体制が不安定だったこともあり、腹に据えかねる思いで、その要請を受け入れている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)
石油元売り最大手のJXTGエネルギーが、石油製品を卸供給する系列の特約店に対して、ガソリンや軽油、灯油などの石油製品の配送料を、6月から値上げするという通達を出していることが、本誌の調べで分かった。関係者によれば、特約店の取り扱う石油製品の量や種類によるが、1リットル当たり10~50銭の値上げだという。
石油元売り業界では、ここ数年続いた大型再編でプレーヤーが減って競争が緩み、常態化していた安売り競争が収束。市況が好転し、石油元売りのみならず、特約店も十分な利益が取れる環境になっていた。
そのため、「値上げ要請は受け入れざるを得ない。小売価格には転嫁せず、われわれの方でかぶる」と、あるJXTG系特約店の幹部は話す。
しかし、心中は決して穏やかではない。それは、せっかく手にした再編の恩恵が、少なからず削られるということの他に、年末から元売りの配送体制の不備が原因で、大混乱が続いていたからだった。