【ソフトバンクG・KDDI・野村総研・NTTデータ・NTT】年収の浮沈で「損をした世代」は?KDDIは横並び、NTTデータはOB優位、他3社はシニア社員が勝ち組《20年間の年収推移を5世代別に独自試算・2026年版》ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(左)とオープンAIのサム・アルトマンCEO Photo:SANKEI

AI投資とデータセンター需要の拡大が、情報・通信大手の経営戦略を大きく変えつつある。ソフトバンクグループは米オープンAIへの巨額投資で純利益が3兆円を超え、KDDIは通信に金融やデータセンターを重ねて増益を確保した。一方、野村総合研究所は海外子会社の減損が直撃し、NTTはNTTデータグループの完全子会社化と社名変更で海外勝負へとかじを切る。こうした5社の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#26では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、KDDIは全世代が横並びとなった一方、NTTデータはOB世代が優位、ソフトバンクグループ、野村総研、NTTはシニア社員が勝ち組となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

AI・データセンター需要でも5社5様
通信、システム開発、投資で勝ち筋はまるで違う

 情報・通信大手5社は、同じAIブームやデータセンター需要の追い風を受けているように見えても、足元の稼ぎ方はかなり違う。ソフトバンクグループは、米オープンAIへの投資利益が膨らみ、2025年4~12月期の純利益は3兆1726億円と過去最高を更新した。孫正義会長兼社長が掲げる「AI全賭け」は、数字の上では大きな成果を生んでいる。もっとも、その裏側ではオープンAIへの追加出資や米半導体設計アンペア・コンピューティングの買収に伴う巨額の資金需要が続き、財務面の緊張感もなお強い。

 通信会社の景色も一様ではない。KDDIは25年4~12月期に増収増益を確保し、金融やデータセンター、あらゆるものがインターネットにつながるIoTなどの成長領域が伸びた。だが、その後には子会社ビッグローブなどの広告代理事業で架空取引が発覚し、決算の延期と修正を余儀なくされた。通信に依存しない成長モデルを築こうとする一方で、グループガバナンスの甘さが露呈した格好だ。

 NTTも同期間は増収増益を確保したものの、NTTドコモの5G(第5世代移動通信システム)投資負担や販促費の増加が重い。NTTデータグループの完全子会社化や、「日本電信電話」から「NTT」への正式社名変更を通じて、従来の国内通信会社から世界的なIT・AI企業への転身を急いでいる。

 システム開発・ITサービスの2社も対照的だ。野村総合研究所は26年3月期に売上収益が8147億円と増収を確保したが、北米とオーストラリアの子会社でのれんなど969億円の減損を計上し、純利益は83.7%減の152億円に沈んだ。国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要は旺盛でも、海外の事業再構築が重荷となっている。

 NTTデータは25年4~6月期こそ為替の円高進行で純利益が微減だったが、NTT本体に取り込まれることでデータセンターとITサービスをグループ一体で伸ばす体制に移る。成長期待の大きい分野を抱える一方、会社の形そのものが変わる転換点にある。

 つまり5社は、同じ情報・通信大手に見えても、実際には「何で稼ぎ、どこを伸ばし、どこを立て直し、次の柱を何にするか」が大きく異なる。もっとも、足元の業績や事業環境がどうであれ、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。

 今回はソフトバンクグループ、KDDI、野村総研、NTTデータ、NTTを取り上げる。5社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。

 対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。

 試算の結果、KDDIを除く4社は勝ち組と負け組がはっきり分かれた。一方、KDDIだけは全世代が横並びという結果になった。次ページでその詳細を確認しよう。