非エリート校に勇気
強豪校の壁も越えられる

 ほんの数年前までの富島高野球部は間違いなく後者だった。連合チームをつくってなんとか大会に出場していたのだ。選手の意識も低かったに違いない。甲子園など夢のまた夢とあきらめ、楽しさ優先でプレーしていたのではないだろうか。

 しかし、浜田監督が赴任してその意識を変えた。環境は変えられなかったものの練習方法を工夫し、自分たちがレベルアップしていることを実感させ成長を導いた。

 富島高の甲子園出場は、恵まれない環境に置かれていながらも前向きに取り組んでいる多くの部活の指導者に勇気を与えたのではないだろうか。部員の意識を変え、練習方法も工夫する。指導者にそれができれば、強豪校の壁を越えることはできるし全国大会出場も決して夢ではないと。富島高の甲子園出場はそれほどのエポックなのだ。

 もっとも、だからといって高校野球の構図が変わることはなさそうだ。ベスト8以上はすべて私立の野球強豪校だ。九州大会決勝で富島高を破り、今大会でもベスト8に進出した創成館(長崎)などはハイレベルの投手5人を揃え、初戦から準々決勝までの3試合、すべて異なる先発投手を立てた。肩の消耗や故障を考慮に入れてのことだろうが、今や高校野球でも多数の投手を抱えるプロ並みの戦い方をしなければ勝ち抜けなくなっているのだ。

 こうしたチームづくりはさすがに公立高校では無理だろう。公立高校の健闘は感動を呼ぶが、レベルアップが進み高度化した高校野球で覇権を狙うところまでいくのは厳しそうだ。

(スポーツライター 相沢光一)