笑顔で拍手をする若い男女グループ写真はイメージです Photo:PIXTA

上司として丁寧に説明し、何度も伝えたはずなのに、肝心なことが伝わっていない……そんな経験はないだろうか。人は話を聞いただけでも、やってみただけでも、実はほとんど学ばない。学びが生まれるのは、振り返りの中で「なるほど」と腑(ふ)に落ちた瞬間だという。1万人以上のマネジャーを指導してきた筆者が、記憶と成長を引き出すシンプルで強力な質問の使い方を解説する。※本稿は、経営コンサルタントのマイケル・バンゲイ・スタニエ著、翻訳家の吉村明子訳『1万人のマネジャーを指導したコーチングのプロが教える 質問力で人を動かす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

他人が叩き込んだだけでは
本人の学びにならない

 マネジャーとして、リーダーとして、あなたはチームメンバーに仕事をやり遂げてほしい。でも、あなたはそれ以上を望んでいる。学んで、もっと有能になってほしい、もっと自立してほしい、もっと成功してほしい。幸い、彼ら自身もそれを望んでいる。

 しかし、学びを支援するのは難しい。相手の頭にはっきりしたコンセプトを(時にはシャベルで)何度も叩き込んだつもりでも、大事な点が伝わっていないのだ。その理由は、

 人はあなたが何かを言って聞かせても、学ばない。

 人は自ら何かをやっても、学ばない。

 聞いたこと、やったことを思い出したときに初めて、人は学び、新しい神経回路をつくるからだ。

「なるほど!」の瞬間を
いかにつくり出すか

 クリス・アージリス(訳注:1923―2013、アメリカの組織行動科学者・産業教育心理学者、学習する組織に関する独創的な研究で知られる)は40年以上前に「ダブルループ学習」のモデルを提唱した。

 最初のループが問題を解決するとすれば、2番目のループは問題に関する学びの機会をつくる。2番目のループで私たちはあらためて問題を振り返り、洞察を得る。新しい神経回路がつながり、「なるほど!」と思う瞬間が訪れるのだ。