特に従業員持株会に関しては、給料というフローの収入に加えて、ストック資産まで会社の運命に委ねてしまうことになり、あまりにもリスクが高すぎる。少しくらいの金額であればともかく、あまり多額の金額を注ぎ込むべきではないだろう。さらに投資信託の場合、買い付けに手数料がかかると、ドルコスト平均法のように小口で買い続けることで、割高な手数料を払うことになりかねない。

 ドルコスト平均法を金融機関などの業者側から見れば、いったん契約してもらった客から毎月安定的にお金が入ってくるのだから、これはとても効率的なビジネスだ。業者が、やたらとドルコスト平均法を勧めたり、礼賛したりする理由もこの辺りにあると言っていい。

 この方法さえ使えば安心とばかりに投資へ誘導するのは、「認知バイアス」を使ったマーケティングの一種だから、そんなセールストークに乗せられて、“コツコツ投資”だから安心とばかりに、信託報酬の高い投資信託を長期にわたって積み立てるというのも気をつけた方がいい。長期にわたって累積するコストは高く、決してばかにならないからだ。

 筆者は、決してドルコスト平均法が悪いと考えているわけではない。一定の効果をもたらしてくれるのは間違いないが、盲信しないことが大切だと言いたいのだ。

 この方法は決して万能ではない。単に取引手法のバリエーションの一つであり、心理的な優位性と、投資にかかるコストやリスク集中とは全く別物であることを認識しておいた方がいいだろう。

(経済コラムニスト 大江英樹)