中国の温家宝首相は3月5日の全国人民代表大会で、成長率目標を昨年までの8%から7.5%に引き下げると表明した。中国の労働年齢人口の伸び率は大幅に鈍化しており、2015年以降はマイナスになる。成長率を無理に高く維持するとインフレが激しくなる。ソフトランディングのための「適度な減速」は今後も必要である。

 とはいえ、日本企業が営業戦略を考える際は、全体の成長率の数値にとらわれ過ぎないほうがよい。13億人すべてを対象にするビジネスは存在しないからだ。中国経済の多様性に着目する必要がある。

 第1に、地域の多様性がある。日本の人口に近い経済圏を探してみると、四川省とそれに隣接する重慶市を合わせた人口は1.1億人だ。昨年、前者は14.5%、後者は16.5%もの高成長を示した。湖南省と貴州省も隣接しており、合計1億人だが、それぞれ14%、15%という成長を示した。

 今年はそれらの成長は落ちると思われるが、それでも10%は大きく超えるだろう。参考までに、ベトナムとカンボジアを合わせた人口は1億人、タイとミャンマーを合わせると1.2億人だが、それら4ヵ国の今年の成長をIMFは5~6.5%前後と予想している。