その一方で、新宿という集客力のある所で、新しいゲームを広めたいという思いも強かった。キャラクターに強いバンダイと業務用ゲーム機の開発とゲームセンターの運営ノウハウがあるナムコの強みを思い出した。キャラクターを導入したVRゲームを前面に出す戦略に出た。

「VRゲームは他社でもやっているが、ここまでのノウハウがある会社は他にない」と心を奮い立たせ、経営陣の前でプレゼンを行った。「経営陣がゴーサインを出してくれたときは、ほっとしたと同時に、絶対に失敗できないと気が引き締まった」。

 何しろ、11月にゴーサインが出て、開業が17年7月である。更地になって鍬入れ式を行ったのが2月。怒濤のようなスケジュールだった。

ドラクエの導入に成功
海外展開も視野に

 冒頭のマリオカートやドラゴンボールは新宿で初めて導入された。ドラゴンボールはバンダイナムコにとっては、キラーコンテンツ。ゲームソフトやスマートフォン向けゲームアプリ、玩具などを通じて、キャラクター別売上高では今やトップだ。それだけに、ユーザーがどんな体験ができるのかを徹底的に議論した。ドラゴンボールの代名詞的な術の「かめはめ波」では、気をため込む感覚や「かめはめ波」の掛け声で山が吹き飛ぶ様子を、映像や振動を使うなどして没入感を演出した。

 今年のゴールデンウィークからは、ライバルのゲームメーカーのスクウェア・エニックスの許諾を得て、ドラゴンクエストのVRゲームを展開する予定だ。

「新宿ではいろいろなキャラクターを使ったVRゲームを導入して、次世代につなげたい」

 ここで生まれたゲームが国内で20店舗、海外で2店舗に広がった。柳下は、世界を視野に入れている。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

Photo:BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
【開発メモ】VR ZONE SHINJUKU
 2017年7月に東京・新宿でオープンしたVRゲーム施設。写真のハネチャリのようにゴーグルを着けて遊ぶものが多い。マリオカートなど16種類のゲームのほか、仮想アイドルのコンサートなどを行っている。19年3月までに1000万人の来場を狙う。外国人観光客の利用も多く、17年のクールジャパン・マッチングアワードでグランプリを受賞。