近未来都市を疾走!
疑似体験が味わえるVRサイクル
国内のジム業界の市場規模は、2015年に売上高4381億円、施設数4661軒、会員数421万人と史上最高を記録し、近年伸び続けている(クラブビジネスジャパン調べ)。中高年の定着率向上や子ども向けスクールの開講で成功していることが主な要因だ。しかし、ミレニアム世代と言われる若年層の取り込みは思うように進まず、課題となっている。
「若年層は入会してもすぐに辞めてしまう傾向がある。単に健康になったり、体が鍛えられたりする以外のエンタメ系の要素でつなぎとめることが必要」と、フィットネスクラブを全国展開するルネサンスの萩田雅彦・新業態推進部長は話す。
そのルネサンスが、若者が集まる渋谷で、世界的に有名なフィットネスチェーン「レスミルズ」のプログラムに特化し、3月19日にオープンする店舗が「サイクル&スタジオR」。そして、目玉として導入されるのが、バーチャルリアリティ(VR)サイクル「THE TRIP」だ。これは、前方に設置された幅12m、高さ2.7mの湾曲した大型スクリーンに、近未来都市や砂漠、森などの“VRアニメ”が映写される中、集団で据え置き型バイクを40分間こぎ続けるプログラム。国外では既にロサンゼルス、パリ、香港などで導入されているが、日本には初上陸だ。
実際はどのようなものか、マスコミ向け体験会で筆者が試してみた。密閉された暗いスタジオ内には据え置き型のバイク40台以上が、数列に分かれてずらりと並ぶ。その光景だけ見れば、以前本コーナーでも紹介し、日本で暗闇系バイクブームを起こしたフィールサイクル(記事はこちら)に似ている。だが、大きく異なるのが、前方に視界を覆うように設けられた大型スクリーンの存在だ。早速サドルにまたがり、専用シューズを履いてペダルに足を固定し、VRサイクル初体験に臨んだ。
スクリーンには、バイクの漕ぎ手の目線で、漕いでいる最中に見える風景を想定して作られたアニメ映像が流れる。仮想の近未来都市や自然の中を、上下にアップダウンしたり、左右に曲がりくねったりする道路がスピード感一杯に眼前に迫る。その映像を見ながらバイクを夢中でこぐことで、まるで都市や自然を疾走しているような臨場感を堪能できた。開始10分程度で、汗が滝のように流れ、息もかなり上がったが、その後も何とか漕ぎ続けられたのは、VRアニメの楽しさによって、きつさを紛らわすことができたからだ。