リコーは、これまで日本国内において中小企業のパートナーとして共に発展してきた。その、企業としての原点といえる大切な価値観に、今一度火をつけようとしている。社内に新しいイノベーションの火種を植え付けようとしている。

 社会起業と連携することで、企業はこれまで培ってきた技術を改めて別の形で社会に適合させる機会を得る。また社員や社会に、企業としての存在理由を提示することができる。マーケットに対応するだけでなく、より“社会に意義のある”動機に基づいて社会と市場をリードする機会を得るのだ。

 さらに、ドリシテ社の現地でのアプローチが、リコーの社員を動機づける。この連携から、現地に自らとびこみ丁寧に話かけ、信頼関係をつくるというビジネスの基本的な態度を改めて学び、同時に、新しいビジネスアイデアや、異国の地域の中での自社の位置づけを見いだそうとしている。

 日本企業の社是には、利益追求はむしろ手段で、より大きなビジョンを適えるのだと唱ってあることが珍しくない。社会のイノベーションに寄与することは、企業の存在理由を明確にし、企業と働く人に新たな指針を提示するのではないだろうか。


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――未来に何ができるのか、いまなぜ必要なのか

デービッド・ボーンステイン、スーザン・デイヴィス著
有賀裕子訳、井上英之監修

なぜ、リコーは<br />インドの「社会起業」と手を組んだのか?

グラミン銀行の創設メンバーと、社会起業専門の世界的ジャーナリストがまとめた、「社会起業」を体系的に学ぶための1冊。世界中のビジネススクールで標準的な入門書として採用されている本でもある。
4/6判並製・280ページ・1680円(税込)
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