米国が「世界の警察官」を辞めることは、米国の弱体化を意味しない。「シェール革命」によって米国がエネルギー自給を達成し、世界中に軍隊を展開してのエネルギー資源確保の必要性が薄れたからである(第173回)。つまり、ロシアや中国の国際社会における勢力拡大や、サウジ・イランの対立による中東などの不安定化は、米国の弱体化というより、むしろ米国の積極的な意思によるものと言える。この延長線上に「在韓米軍」もあると考えるならば、その撤退は米国の「敗北」ではなく、むしろ積極的戦略であるのだ。

 実際、トランプ大統領は、大統領選時に「韓国や日本が駐留米軍費をもっと負担しないなら、日韓に核武装を許す代わりに米軍を撤退する」と発言していた。大統領にとっては、敗北どころか「公約の実現」という側面すらあるのである。

 そして、「在韓米軍」の撤退は、韓国が中国の影響下に入ることを意味し、北朝鮮主導の南北統一の始まりなのかもしれない。北朝鮮よりも圧倒的に優位な経済力を持ち、自由民主主義が確立した先進国である韓国が、最貧国で独裁国家の北朝鮮の支配下に入ることはありえないと人は言うかもしれない。しかし、明らかに「左翼」で「北朝鮮寄り」の文大統領にとっては、それは何の抵抗もないどころか、むしろ、大歓迎かもしれないのだ。

日本が「蚊帳の外」を打開したければ
「核武装」をカードに使うしかない

 4月17日に日米首脳会談が予定されている。安倍首相はトランプ大統領に対して、「北朝鮮による完全かつ検証可能で不可逆的な非核化に向けたコミットメント(約束)が必要」という日本の立場を伝えようとするのだろうか。だが、大統領に対して、正論を論理的に説こうとするのはするのはやめたほうがいい。

 また、トランプ政権の「保護主義」についても、自由貿易の重要性を説くようなことはやめるべきだ。安倍首相ができることは、大統領の機嫌を取ること。北朝鮮の脅威に備えて、米国から武器をさらに買う約束をし、シェールオイル・ガスに投資することを表明することで、貿易不均衡の解消に努める姿勢を見せることだ。

「アメリカファースト」は、付け入る隙がないわけではない。米国は「世界の警察官」をやめ、「同盟国のモノを買って、食べさせてやる」ことをやめるが、一方で「米国のモノを大量に買ってくれる同盟国」を必要とするからだ(第173回・p5)。日本は、どの同盟国よりも米国のモノを買う力がある。まずは堂々と、米国にとって絶対必要な存在になることだ。