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SVB破綻の引き金となったのは、金利上昇で膨らんだ国債の含み損とそれを埋め合わせる増資発表だった。あれから3年、同種のリスクが最も意識されるのは邦銀だ。金利上昇で地方銀行の債券の含み損は拡大する一方、株価は金利上昇を追い風に上昇している。規制上は見えにくい脆弱性が、いつ市場で再評価されるのか。(ピクテ・ジャパン シニア・フェロー 大槻奈那)
「国債の含み損」が引き起こした
デジタル銀行破綻
もうすぐ米地銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻から丸3年がたつ。SVBの2023年3月の破綻の原因の一つは、保有していた国債の価格下落だった。これが預金者の不安を招き、オンラインで預金が大量に引き出されるというデジタル・バンクランが発生し、08年のワシントン・ミューチュアルに次ぐ史上2番目の規模の銀行破綻となった。
SVBの22年末時点の総資産は約2090億ドル(30兆円)で、日本でいえば大手地銀クラスだ。普通株式資本比率も12%とそこそこ優秀だった。ところが、債券の含み損は、この潤沢なはずの資本をほぼ相殺するほどに膨れ上がった。
これまでも、国債を保有する銀行の信用力が悪化した欧州ソブリン危機のような事例はあった。しかしこれらは、国の信用力が極端に悪化した事例であり、SVBのように、高格付け国の金利上昇・債券価格の下落で、銀行の破綻が誘発された事例は、これ以前にはほとんど見られなかった。
SVBの破綻には、言うまでもなく債券問題以外に、テック業界の不振や預金の所有が一定の預金者に集中していることなどもあった。しかし、突然の預金流出のトリガーを引いたのは、債券の含み損と、これを埋め合わせるための増資の発表だった。今、こうした金利上昇の影響が最も懸念されているのはおそらく邦銀である。
それはなぜか。次ページではその要因と日本経済への影響を検証する。







