「JMM」で村上編集長への回答執筆が最も早いのは、多くの場合、信州大学教授の真壁昭夫氏だ。傾向として、バランスの取れた用語解説的な回答を書かれることが多い。他の寄稿者の中には、真壁氏の回答を解説代わりに参考にして回答を書く人もいる。

 真壁氏の考察で目に付いたのは、財源に関する心配だ。「現行の制度でも、我が国の財政状況はかなり悪化しています。それ以上にコストのかかる制度を導入することは、現実問題として難しいことになります」とあり、現行の生活保護との比較で「現在、所得制限によって給付を受けていない人たちに給付する分は、当然、増えることになります」と心配されている。

回答に見られる「財源論の呪縛」
見落としやすい3つのポイント

 ベーシックインカムに関して財源に関する懸念の声は以前から少なくないのだが、割合見落としやすいポイントが3つある。

 1つは、ベーシックインカムは全ての人に支払われるので、ベーシックインカムのための財源を負担する国民は、同時にベーシックインカムを受け取っている人でもあるということだ。

 これは、受け取りと支払いが相殺されるということなので、一件無駄であるように見え、支出額の点で「大きな政府」を招くのではないかと思われがちなのだが、税金を支払う人の負担がベーシックインカムの分だけ軽減されていることが、見落とされやすい。

 また、富の再配分の仕組みを考えると、受給額と負担額の両方を動かして調整しなくても、受給額を一定として負担額を調整すれば、実質的な再配分がよりシンプルに達成可能だということがわかる。

 仮に「理想的に公平な税制」を常に作ることができるなら、ベーシックインカムの問題は、その規模をどれだけにすればいいかということだけになる。