しかも、咲子さんを診た医師が言うように、感染経路は性交渉だけではない。というのも、トリコモナスは乾燥に非常に弱く、長時間の日干しや乾燥機にかけられると死滅する反面、水分さえあればしぶとく生き延び、強い感染力を発揮するからだ。よってプールや共同浴場、トイレの便器、タオルなどを介して、性交渉を行っていなくても感染するケースはあり得る。

 加えて、トリコモナスは犬や猫、ハムスターなどのペットにも寄生する。しかも動物の場合、免疫力のない子犬や子猫には下痢や血便などの症状が現れるが、成犬・成猫は無症状な場合が多い。トリコモナスは感染した動物の便を介して、人にも感染するという。

 どんなに可愛い愛犬・愛猫の便でも、油断は禁物。動物の便を取り扱ったときには、よく手を洗うなどして、感染しないように気をつけなくてはならない。

 以上の理由から、性交未経験の男女や乳幼児でもトリコモナスに感染する可能性は否定できず、咲子さんのような心当たりがまるでない例も、起こり得るのである。

感染のピークは50代
感染者は約7万から700万人!

 今年3月に開催された日本寄生虫学会では、ショッキングな報告もあった。

「女性では感染のピークが15~25歳と50代の2回あり、男性では50歳代までは低率で推移するが、60歳以降に大きなピークが現れる。高齢者でも陽性率が高い。腟トリコモナス症は現在も幅広い年齢層に蔓延しているものと推定され、注意すべき疾患である」

 というのだ。