丁薛祥、黄坤明は
習近平の「お友達人事」の代表格

 国家指導者を親族に持ち、習近平をよく知る“紅二代”が筆者にこう語ったことがある。

「習近平は共産党の権威と安定を確保するためにイデオロギー機関を重要視する。中央・地方を問わず、各宣伝機関の首長には信頼できる人物を据えたいと考える傾向にある。自らが総書記になると、それまでの宣伝部長で、常務委員入りした後も引き続きイデオロギー業務を統括する劉雲山と、劉の後に宣伝部長に就任した劉奇葆をよく思っていなかった。そこで黄坤明を浙江省から引っ張ってきて宣伝部副部長に抜擢し、劉雲山と劉奇葆を監督・牽制しようとした」

 要するに、丁薛祥、黄坤明は習近平が上京する前に勤務していた地方から一本釣りで引っ張ってきた人物ということである。チャイナウォッチャーの間では、習近平は自ら信頼できる人物を中央・地方を含めた要職に就かせ、可能な限り自らの息の届いた“お友達”で「人事」を固めようとする傾向にあるという議論がしばしばなされる。

 筆者も同意する。と同時に、丁薛祥、黄坤明の2人はその代表格であると考えている。

習近平は丁薛祥を
大事に見守り、気にかけている

 前出の“紅二代”は丁薛祥についてはこう語る。

「習近平は丁薛祥を大事に見守り、気にかけている。いまだ意思を固めたわけではないし、最終的にどういう決断をするのかは定かではないが、丁を自らの後継者になり得る人物として認識し、育てていることだけは確かだ」

 筆者は習近平にも丁薛祥にも会ったことがない。故に憶測と観察に基づいて見解を述べるしかないが、本稿で議論した内容を含めたあらゆる状況証拠を考慮し、分析を加えると、丁薛祥は“ポスト習近平”候補の一人であると言える。黄坤明は現時点では次期政治局常務委員候補の一人といったところか。