“両会”で明らかになった人事で
最も注目された王岐山という人物
“習近平第2次政権”が本格的にスタートした。
前回コラムで触れたように、3月20日に閉幕した“両会”(全国人民代表大会&全国政治協商会議)を通じて新たな人事が明らかになった。本稿では、新人事に関して筆者がレビュー&検証に値すると考える事項を書き下していきたい。
今回の人事で最も注目されたのはやはり王岐山であろう。多くの海外メディアやウォッチャーが事前から予測・想定していたように、国家副主席に2969票の賛成と1票の反対で“当選”した(筆者注:投票するのは会議に出席した全国人民代表。同日に主席に就任した習近平は全票賛成で“当選”)。
筆者から見て、王岐山の去就が今回これだけ注目された理由は、(1)習近平が、自らが信頼する盟友や側近を要職に当てる執政スタイルを持つこと、(2)王岐山は第1次政権においても習近平が政治的に最も重要視する分野(反腐敗闘争)に配置されたこと、(3)中国共産党として第2次政権で直面し、解決しなければならない問題や課題がそれだけ大きく、重いことが挙げられるだろう。
王岐山が具体的にどういう立場でどういう問題に向き合っていき得るのかを考える前に、そのバックグラウンドやプロフィールを簡単に整理しておきたい。
王岐山は政治局常務委員経験者である姚依林を岳父に持つ。習近平との絆という意味で言えば、共産党が“天下を獲る”歴史的プロセスに尽力した革命世代の子孫に当たる“紅二代”というバックグランドはクリティカルに重要である。習も王も共産党自体が国家運営の過程で絶対的な権威を保持しようとするからである。