望みを決めたら、するべきことがある

 ボクはアーレントさまの部屋を出ると、従業員トイレに駆け込んだ。
 そして考え込んでしまった。

 ボクはこれまで、自分が望むことを明確に決めたことがあるのか?

 確かに、アーレントさまの言う通り、理想を決めるのって難しい。
 どうしても自分勝手な期限を設けたり、損得勘定で考えてしまうからだ。

おじい「それが失敗への道だな」

タイチ「おじい、いたんだ!」

おじい「たいていの人はある理想を思い浮かべると、『すぐに叶ってほしい』とか『いつまでに叶ってほしい』という時間だけを決めて、あとは『早く叶わないかなぁ』と待っているだけだ。
 理想を実現するために何をするのか、やるべきことを決めるところまでには至らない。
 でも、アーレントさんは『泊まる』と理想を決めると同時に『ホテルをリサーチする』という『やるべきこと』も決めて実行している。
 理想を決めるとは、同時に理想の実現のためにやるべきことを明確にすることだ。
 やるべきことが明確にわからない理想なんて理想ではない!」

タイチ「あ~、確かに、運まかせじゃない」

おじい「小さな結果を出すことすら運まかせにしていると、だんだん他力本願になっていくものよ。まずは自力本願であることが大切だ」

「決める」大切さ。
 そして、自力で決めたことだからこそ、成功した時にはそれが自信にもなる。
 まさに、この自信の積み重ねこそが、運に乗るということなのかもな……。