<アマゾンの物流戦略アマゾンの倉庫における商品の入荷検品、出荷検品の基準は厳しい。配送ミスを減らすために、トヨタの生産システムにおける「カイゼン」や「アンドン」の手法を取り入れている(画像はアマゾンHPより)

要約者レビュー

 アマゾンの企業理念は「地球上で最も豊富な品揃え」そして、「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」だ。この理念を実現するために、アマゾンは様々な施策を行っている。その姿勢が、如実に表れているのが投資額の大きさである。アマゾンは、売上を順調に拡大しているものの、利益は非常に小さくなっている。これは、物流とテクノロジーへの投資が大きいためだと著者は述べる。

『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』
林部健二、 208ページ、プチ・レトル、1800円(税別)

 倉庫の管理、機械設備の導入、優れた人財の配置。日本の企業がほとんど投資することがない物流部門にこそ、アマゾンは莫大な投資を行ってきた。その額は年間2兆円にも及ぶ。アマゾンが物流に大きく投資する理由は、物流の改善によって顧客満足度も生産性も高められると確信しているからだ。それは利益の増加につながり、未来への投資になるのだ。

 ここ数年、アマゾンに関する書籍や雑誌の特集が数多く出ているが、そのほとんどは表面的な紹介にとどまっていると著者は述べる。本書『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』では、アマゾンの内部を知る著者の観点から、アマゾンの物流戦略を中心に経営理念や企業文化を紐解いていく。日本企業の経営者や物流責任者、アマゾンと関係する企業のビジネスパーソン、そしてアマゾンの一般利用者の誰もが、アマゾンという会社の実態を理解できるような構成になっている。経営・物流戦略について数多くのヒントを得られることはまちがいない。 (池田 明季哉)

本書の要点

(1) アマゾンはインターネットの普及とともに、通販を通じて流通イノベーションを起こせると直感し、ネット通販に巨額の投資を行ってきた。 
(2) 物流戦略の肝は、販売と物流を一体化させ、情報連携をスムーズにしている点や、物流に巨額の投資を行っている点だ。
(3) 日本企業がアマゾンに対抗するには、長期視点で、人材教育、オペレーション改善、システム投資の3つを行うことが重要となる。