職位や所属が違っても、参加者であれば皆平等な関係になれた。参加者同士の対話により、合併のしこりがなくなっていったのだ。

 久永センタ長は「会社で一体感を得られるようになった。社内で協力を頼める人が増えた」と話す。

 もともと日立は07年から性別や年齢、国籍の枠を超えて、多様性を尊重できる社内風土を目指すためにワールド・カフェ式を採用。10年10月から本格的に実施し、事業所やグループ会社、部門など約10ヵ所で延べ600人が体験している。

 これが職場の円滑化にも一役買っている。

 あるグループ会社の意識調査。上司が「しっかり指導できている」というのに対し、部下は「きちんとした指導をしてもらっていない」と相反する結果が出た。

 そこで部課長約60人に対して、冒頭のようなワールド・カフェ式の対話を約150分間にわたり実践したところ、「部下の声に耳を傾けてみよう」という意識変化を呼び起こした。職場は自由に意見を出せる雰囲気に大変身した。

 セクハラを気にする男性の上司が女性の部下との対話の機会に利用する例も出ている。

 日立製作所人事サービスセンタ・キャリアサービスグループの小寺亜美部長代理は「コミュニケーションを図るのが大事という全体の風土をつくり上げられている」と、その手応えを感じる。

 低成長時代を迎えたいま、企業には生き残りを懸け、社員の知恵を結集することが求められている。

 それなのに、「仕事で自分の考えがうまく伝わらないことがある」と思うビジネスパーソンは88%に上る。