中国から日本にやってきて、歌舞伎町のキャッチからスタートした「歌舞伎町案内人」の李小牧は本を出版し大ヒット、人生が180度転換する。しかし、彼の夢はそれにとどまらなかった。なんと帰化して選挙に出たのだ。DOL特集「隣の中国人」第3回は、前回に引き続き、李小牧の“ジェトコースター”人生を追っていく。(ライター 根本直樹)

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右翼と左翼、ヤクザと刑事
風俗嬢と学者が交錯する“梁山泊”

在日中国人の歌舞伎町案内人が「侵略者の国」に帰化し選挙に出た理由

 歌舞伎町のメインストリートのひとつ、「一番街」に、李の店「湖南菜館」がオープンしてから今年で11年になる。この店の最大の特徴は、日本では珍しい、中国湖南省の郷土料理専門店ということもさることながら、それ以上に、客層の多彩さにある。その顔触れは、ある種、異様なほど“豪華”だ。

 キャバクラ嬢やホスト、中国クラブのママといった歌舞伎町の住人たちはもちろんのこと、会社員やOL、主婦、外国人旅行者などの一般客、さらにはヤクザの親分、中国マフィアの面々、刑事たち、日中友好ボランティア団体の人々、芸能人、大手新聞社の取締役、雑誌・テレビ関係者、中国民主化運動の活動家、中国地方政府の幹部など、実に多種多様な人々が集い、交じり合う。