「ネクストステップ」は部下自身に考えさせる

 この上司から、もうひとつ教わったことがあります。
 それは、「自分の頭で考える」ということです。彼は、私に対して「で、どうするの?」「どうやって?」「ショートした分はどうするの?」という質問しかしませんでした。それも、決して責めるような口調ではなく……。それは、彼が私に「自分の頭で考える」ことを求めていたからです。

 その後、私は、その上司に「報告+ネクストステップ」を徹底していきましたが、その度に、「なぜ、それで効果があると言えるのか?」「予算がかかり過ぎじゃない?」などと質問を受け、その度に再考。「自分の考え」をブラッシュアップする貴重な機会をいただきました。そして、少しずつ営業マンとして成長していくことができたのです。

 あのとき、上司が私に「こうしなさい」「これをしてはいけない」と指示をしていたら、私はどうなっていたでしょうか? 「自分の頭で考える」ことを身につけないまま、ただ上司の指示に従って行動する人間になっていたかもしれません。

その人が伸びるかどうかは「報告」を聞けばわかる。伸びる人は「起きた事実」を報告するだけではなく、必ず「○○」を伝える。

 だから、私がマネジャーになったときには、あの上司と同じスタンスでメンバーとは向き合うように心がけました。何らかの報告があったら、必ず、「君は、どうしようと思うの?」と問いかける。そして、自分の頭で「ネクストステップ」を考えさせ、自分の意見として伝えてもらう。それに対してフィードバックを返すことで、ディスカッションを深めていくのです。このプロセスを経なければ、メンバーの自律的な成長を促すPDCAが回っていかないからです。