課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

「会議は1時間」という認識が生産性を下げる

「会議は1時間」というのが一般的ではないでしょうか?
 私もいくつかの会社で働いてきましたが、どこでも基本は「1時間」でした。しかし、「なぜ1時間かける必要があるのか?」と改めて考えてみると、明確な答えがないことに気づきます。「以前からそうだから」「きりがいいから」「なんとなく」……。そんなあやふやな理由で、「1時間会議」を続けているのが実態ではないでしょうか?

 そして、これが「会議の品質」を落とす大きな原因となっています。「1時間あるから」と、本来、定例会議からできるだけ排除すべき「情報共有」「伝達」「報告」などに余分なコストをかけてしまう(詳しくは連載第2回参照)。あるいは、定例会議にかける必要性の薄い案件まで議題に上げることによって、意思決定にタイムロスを生んでしまう。果てには、「まだ時間が残っているから」と意味のないコミュニケーションに貴重な時間を費やしてしまう。その結果、定例会議に緊張感が失われ、ただただムダなコストだけが積み上がってしまうのです(会議のコストについても連載第2回参照)

 だから、私はマネジャーになったときに、チームの定例会議は「30分」を基本とするように改めました。高品質な会議を生み出すために、時間的な制約を設けることにしたのです。まず物理的な制約を設けたうえで、その制約のなかで最高の成果を生み出すための工夫をする。そこに、改善のための工夫が生まれると考えたからです。