課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
議題の「事前提出」を徹底する
定例会議を「30分会議」(連載第7回参照)に変えるうえでカギとなるのは、下図のアウトプット(ディスカッション+意思決定)をいかに効率的で実りあるものにできるかです。
情報共有、伝達、進捗報告などのインプットは、ほとんどディスカッションを要しないために、ひと工夫を加えるだけで短時間化はすぐに実現することができますが、アウトプットはディスカッションが伴うだけに、どうしてもそれなりの時間が必要となります。それを、いかに15分以内で処理するか。ここに「30分会議」の成否はかかっていると言えるのです。
そこで、重要になるのが、事前の議題申請と資料提出をメンバーに徹底してもらうことです。【下図】のように、定例会議を毎週水曜日に開いているのであれば、その前々日の月曜日までに議題申請と資料提出を行うよう義務づけるのです。
これには、事前に全メンバーに議題と資料を配布して、内容に目を通したうえで定例会議に参加してもらうことによって、ディスカッションの質を高める狙いもあるのですが、それ以外にも、マネジャーが議題をコントロールするという重要な意味があります。
ポイントは「前々日までに議題と資料の提出を義務づける」という点にあります。つまり、月曜日までに提出してもらい、翌日の火曜日にマネジャーが議題と資料をチェックして整理するのです。ここでのチェックポイントは、大きく次のふたつです。
【チェックポイント(1)】
「70点の提案」になっているかどうか? 「70点」に至っていないと判断した場合は、提案を差し戻してブラッシュアップを求める。
【チェックポイント(2)】
複数の議題がある場合には、優先順位をつける。件数が多い場合には、優先度の低い提案は翌週に送るか、少人数ミーティング(連載第5回参照)で意思決定する。
この2点をしっかりチェックすることによって、「30分会議」を適切に行うことができるようになります。以下、ふたつのチェックポイントについてご説明いたします。