課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

スケジュールは「統一フォーマット」を使う

 すべての仕事には締め切りがあります。その期日までに完遂することができなければ、仕事をしたことにはなりません。そして、チームのなかでそのような案件が増えれば、チームとしての目標を達成することも不可能です。

 ですから、マネジャーは、「週1回」の定例会議で、すべてのプロジェクトの進捗状況を確認することで、メンバーのスケジュール感覚を刺激し続けるとともに、進捗を困難にしている問題があるのであれば、それをチームとして解決する必要があります。

 また、定期的にすべてのプロジェクトの進捗状況を共有することで、メンバー全員が、現在、チームのなかでどのようなプロジェクトが動いているのかを共有することにも意味があります。普段、それぞれのメンバーは、自分が担当する業務に集中しているため、チームの状況を俯瞰する機会がないものです。そこで、進捗確認を通してチーム全体を俯瞰する視点をもってもらい、必要であれば他のプロジェクトに協力するなどの意識を醸成する必要があるのです。

 ただし、進捗確認はできるだけ簡素化する必要があります。会議において最も重要なのは「意思決定」であり、そのためのディスカッションに時間を使う必要があります。進捗確認に過大に時間を取った結果、最も重要な「意思決定に関するディスカッション」に時間を割くことができなくなるような事態は避けるべきです。

 では、どうすれば進捗確認を最速で終わらすことができるでしょうか?
 まず、大前提として、それぞれのプロジェクトの実施を決定するときに、スケジュールを確定しておく必要があります。もちろん、状況次第でスケジュールの前倒しや引き延ばしなどの調整を余儀なくされることもありますが、まずは、最初の段階で確定しておくことが大切です。当たり前のことですが、確定したスケジュールがなければ、予定どおりに進んでいるのか否か、進捗確認のしようがないからです。

 ところが、しばしばプロジェクト決定時にスケジュールをあやふやにしてしまうケースが見受けられます。その結果、担当者のスケジュールに対する責任感もあやふやになるために、チーム全体でプロジェクト完遂の“抜け漏れ”が増加することになります。ですから、マネジャーが会議の場で必ずスケジュールを明確にするように求める必要があります。

 私は、すべてのプロジェクトについてスケジュールを記入する統一フォーマットを用意していました(下図)。いちいち担当者がゼロベースでスケジュール・シートをつくる手間を省くことができますし、統一フォーマットであれば、担当者以外のメンバーが見たときにも、一瞬で内容を把握することができます。スケジュール・シートを読み解く時間と労力を省くことも、会議のスピード化にとって重要な要素なのです。

一流マネジャーはプロジェクト管理を「色」で行う

 ご覧のとおり、「プロジェクト確定」→「準備」→「実施」→「検証」のステップごとにスケジュールを色別で示しています。色をすべてのプロジェクトで統一しておけば、いちいち文字を読むまでもなくスケジュール感を把握できるのでとても便利なのです。