45歳までに修羅場を経験すると
ビジネスパーソンとして大きく成長できる

 もっとも、座学とメンターからの教えだけでは、自分の市場価値を高めることはできません。本を読まない人は絶対に伸びませんが、本ばかり読んで仕事をやらない人はもっと伸びないんです。私は、最も重要なのは「修羅場」だと思っています。

 昔、ある経営者の方は「経営学は本を読んで学べるが、経営力はやってみなければ身につかない」と言いました。本を読めば知識はつきますが、何事もやってみなければわからないことがあります。多少大げさな言葉かもしれませんが、そこで必要なのが「修羅場」の経験なんです。

 できれば45歳くらいまでに、難しいクライアントを担当する、新製品導入の旗頭を務める、海外拠点立ち上げのリーダーになるといったような、結果責任を伴う仕事をいくつか経験しておきたいですね。欲を言えば、さらに海外での経験も積めると、大きく成長すると思います。

岩瀬 「自分の市場価値を高めよう」と言われると、とてつもなく大変なことのように感じるかもしれません。「イチローのようになれるのはごく一握りの人だけ」「自分はどうせ外資系企業のトップになんてなれないし……」と思う方もいるでしょう。

 しかし、ビジネスの世界では、誰しも「イチロー」になれる可能性があります。野球と違って、ビジネスの世界にはワールドカップも世界ランキングもありません。仕事によって求められる資質は異なり、それぞれの業種や職種の中でものすごく細分化された“局地戦”を行っているわけです。

 ですから、いま働いている職場のなかで努力して仕事を突き詰めていけば、その世界の「イチロー」になることは可能なんです。言い換えれば、ビジネスにはさまざまな輝き方があり、金メダルをもらう人がたくさんいるということ。

 新さんがおっしゃる「修羅場経験」も、「私に必要な『修羅場』は何だろう?」というように、自分の状況に置き換えて考えてみるといいかもしれませんね。

(文・千葉はるか)

※次回配信予定は4月9日(月)です。


【編集部からのお知らせ】

 

定価:1,575円(税込)
四六判・並製・240頁 ISBN978-4-478-01542-1

◆岩瀬 大輔『入社1年目の教科書
急成長を遂げる生命保険会社の若き経営者として活躍する著者が「自分が新入社員のときに読みたかった」と思う仕事の原則を50の指針にまとめました。
入社、転職、異動など、最初に訪れたチャンスをつかむために、どんな「準備」が必要なのか、「仕事に取り組む姿勢」と「実際にどう動けばいいのか」を教えます。

 ご購入はこちらから
[Amazon.co.jp][紀伊國屋BookWeb][楽天ブックス]

 

定価:1,680円(税込)
四六判・上製・256頁 ISBN978-4-478-01345-8

◆新 将命『働き方の教科書
ジョンソン・エンド・ジョンソン等のグローバル企業で経営トップを歴任し、輝かしい実績を築いてきた著者が、半世紀近くに及ぶビジネス人生の間で経験した、数多くの失敗や挫折を通じて学んだ「仕事の原理原則」を伝授。
成功者たちの多くがこの心構えを実践し、成果を上げています。

ご購入はこちらから
[Amazon.co.jp][紀伊國屋BookWeb][楽天ブックス]