新刊『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』で詳しく紹介していますが、サブオービタル機の開発に大きく貢献したのは、2004年の「アンサリ・Xプライズ」です。レースの条件は、次のようなものでした。

 「2週間以内に2回、同じ機体で100キロを超えて宇宙に到達すること」

 この挑戦には世界中から、のべ26チームが参戦し、最終的にスケールド・コンポジッツの「スペースシップワン」が優勝します。

 リチャード・ブランソン率いるヴァージングループの宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックは、スペースシップワンの技術をベースに「スペースシップツー」を開発して、宇宙旅行事業を開始することを発表。2012年からの商業運航を目指しました。

 世界中から応募した最初の100人は「ファウンダー」と呼ばれました。世界最高齢と最年少のファウンダーは、日本人でした。

 2005年には、クラブツーリズムがヴァージン・ギャラクティックの公式代理店となり、日本での発売を開始しました。日本人向けのサービスを提供するため、スペースシップツーのチャーター便を確保して、日本語によるサービスなど、安心して宇宙に行くことができるようにきめこまやかなサポートをしています。

 日本人の申込者は20人ほどいます。クラブツーリズムは2015年に宇宙旅行事業を分社化、宇宙旅行代理店のクラブツーリズム・スペース・ツアーズを設立しました。

 ヴァージン・ギャラクティックのスペースシップツーは、空中発射2段式です。飛行機のような母船で、通常の飛行機より少し高い高度15キロのところでロケットを空中発射させます。

 パイロット二人を含む8人乗りのロケットは約90秒の燃焼で、弾道飛行で地上100キロを超える宇宙に到達します。帰りはフェザーウイングを広げて、減速しながらグライダーで帰還します。

 しかし、スペースシップツーは2014年、ロサンゼルス郊外のモハベ砂漠での試験飛行中に墜落事故を起こしてしまいました。多くの見物客の目の前で試験飛行しているとき、ロケットエンジンに点火したところで爆発、空中分解してしまったのです。二人乗っていたパイロットのうち一人が亡くなり、一人がギリギリのところで生還しました。

 2016年2月にスペースシップツーの2号機「ユニティ」がロールアウトして飛行試験が進められています。