四緑」の“剛と柔の心”が生んだ
世界で活躍する市民ランナー

 さらに、川内さんの注目すべきところは、マラソン界に革命を与えた人だということです。
 なぜかというと、マラソンといえば実業団を思い浮かべますね。
 オリンピック選手になるという夢をかなえるのもそうですが、ランナーとして戦うためには、まずどこかの実業団チームに入っていなければという従来の考え方を変えてしまったのが川内さんです。
 市民ランナーでも世界に出ていけることを示しました。

 川内さんに親しみを持つ人、応援している人の多くは、こんな川内さんの孤高でひたむきな戦いに清々しさをおぼえるのかもしれません。

 そして川内さんの強さの根源を考えたとき、実業団というカゴに入っていない分、強くなったと言えるのではないでしょうか。

 カゴに縛られないから川内さんは、「風の四緑」の川内さんらしく、自由に自分のスタイルを維持できるのですから。

 一方で、練習から体調管理まですべては自己責任。
 自分を律する強い気持ちがなければ続きませんが、川内さんはそれを見事にやってのけています。
 柔と剛の心をあわせ持つ、これが「風の四緑」パワーを活かす秘訣です。
 これから川内さんの新しい挑戦が始まります。
「風の四緑」の川内さん、風と共に世界をかける。
 川内さんの存在は、プロランナーになることでさらに大きくなっていきそうです。

中野 博(Hiroshi Nakano)
信和義塾大學校創設者兼塾長、経営コンサルタント
早稲田大学商学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院ブランディング実践講座エグゼグティブコースを修める。ハーバードビジネススクールでは経営学を学ぶ(いずれも短期集中型の経営者クラス)。1992年、地球サミットに国連認定ジャーナリストとして参加したことを契機に環境ジャーナリストとして活動。1997年の地球温暖化防止京都会議を機に、株式会社エコライフ研究所設立。環境ジャーナリストとしての取材・分析力と経営コンサルタントとしての提案力をベースに、800社以上を環境ビジネスに参入させ成果を挙げる。その傍ら、住宅、環境を軸にした本を多数出版(本書が30冊目)。講演依頼も多く、国内外で2000回以上の実績。2005年、教育研修会社の株式会社ゴクーを設立。1万人のサンプリングを体系化した『9code(ナインコード)』をもとに、信和義塾大學校で指導にあたるほか、企業や各種組織で『9code』を利用したコンサルティングや人材活用研修も多い。現在、信和義塾大學校は、世界6ヵ国20都市以上にあり、塾生は700名超。