現場軽視の施策で
画餅に帰する100周年計画

 この流れを方式として確立させようと取り入れたのが、「集配方法のスイッチ」だ。従来のドライバーに加えて、「アンカーキャスト」と呼ばれるパート社員1万人を活用することで、長時間労働を解消しようとしている。

 宅急便を始めて以来、センターに集まった荷物はドライバーがその日のうちに全て配達する「先発完投型」だった。ヤマト経営陣は、この方式こそ長時間労働の元凶であると判断。ドライバーは朝~夕方、アンカーキャストは午後~夜に配達する「2本立て集配」方式へシフトさせる。

 この背景には、隠れた狙いもある。ドライバーを本来の役割に立ち返らせることだ。

「宅急便のドライバーは、運転手でありセールスマンでもあるべきだ。良い態度でお客さまに接し、荷物を集めてこなければ宅急便は成り立たない」。小倉昌男氏がこう語ったように、ヤマトのドライバーは、本来、宅配に加えて集荷も行うことが競争力の源泉だった。

 ドライバーの営業機能強化の施策から察するに、早くもヤマト経営陣は、働き方改革終結の「その先」を描いているようだ。具体的には、一時的に荷物が日本郵便などへ流れて落とした宅配シェアを取り返すことである。

 ヤマトがマイルストーンとしているのが創業100周年に当たる2019年度である。この期に、売上高1兆6700億円、営業利益720億円の過去最高益を計上することで、業績回復という意味でも、会社の信用回復という意味でも、鮮やかに完全復活を遂げる算段なのだ。

 しかし、である。本社の壮大な目標を成し遂げるには、現場の総力結集しか手段はないのに、あまりにも現場軽視の姿勢が目立つ。

 その典型的な施策が要員体制である。ヤマトはアンカーキャスト1万人体制を目指しているが、そのモデル年収はわずか312万円。ドライバーに代わる夜の激務をこなしての低賃金労働では、人が集まるはずもない。