セックス三昧だと活力を失う!
偏食や豪華朝食は控えるべし

 では、実際に中年男性が精を保つためには、どのような生活を心がけたらいいのだろうか。養生訓の内容を踏まえて、中年男性に向けた養生法の一部を松江氏に解説してもらった。

「まず大前提として、できるだけ早寝早起きを心がけること。春夏秋冬、日の出の時間帯は違いますから、冬は日が長い時期に比べて遅くまで寝ていられます。体を動かすことも精を増やすことにつながりますから、適度な運動もいいですね」

 また、食事についていえば、現代人の常識と養生訓の説く食事法とでは、多少のズレがあるという。

「最近だと、“糖質制限”などで肉中心の食生活を送る人もいるようですが、中医学では偏食はとにかくNGとされています。肉は精を増やす食材ではありますが、油を取り過ぎると不養生につながり、かえって精を減らすことになる。40代以降は肉を食べるにしても、いい肉を“ほどほどに”がいいでしょう」

 さらに、今の日本だと「朝食はしっかりと」と言われているが、中医学の観点からいうと、それもややズレているそうだ。

「本来、朝は排泄のための時間。ところが、“ガッツリ”食べてしまうと消化器官が活発になりすぎて、排泄するための器官の活動が不十分になってしまいます。朝は、バターたっぷりのスクランブルエッグやソーセージといった、脂質が多く消化に悪いメニューは避けた方がいい。米のエッセンスがたっぷり入ったおかゆや野菜ジュースなど、流動食に近いものがベターです」

 さらに性生活については、養生訓では「四十以上の人は、交接のみしばしばにして、精気を漏らすべからず」といった旨が記されている。

「本来、若い女性と触れ合えば、精を分けてもらって若返るもの。古代エジプトの王様がハーレムをつくっていたのは理にかなっているんです。ですが、精は“精液”の精でもあり、出すと減ってしまうので、節操がなさ過ぎるのも問題なんです。『接して漏らさず』とはよく言ったもので、銀座のクラブでも、美女にお酒をついでもらってスマートに遊ぶ人の方が、仕事ができる印象がありますよね。色欲に溺れると精が減って、かえって活力がなくなってしまいますよ」

 中年をすぎてなお盛んな方が、活力につながりそうなものだが、やはり度が過ぎると良くないということか。
 
『養生訓』にはほかにも、「座り過ぎは良くない」「食事は腹八分目に」「コミュニケーションを大切に」といった、現代でも健康維持の基本とされていることが、とくとくと説かれている。流行りの健康法に飛びつくのもいいが、江戸時代から読み継がれてきた健康本の名著で、改めて養生の基礎を学び直してみてはいかがだろうか。