背任罪で告発されているのは、近畿財務局が森友学園に売却した豊中市内の土地取引。小学校建設で森友学園は近畿財務局と当初、貸付期間10年の借地契約を結んでいたが、2016年3月、地中から新たなゴミが見つかったとして、撤去費などを差し引いた価格での売却を求めた。

 近畿財務局は、運輸省大阪航空局にゴミの撤去費用を見積もるように依頼。4月には、航空局が見積もった撤去費用約8億2000万円を考慮することを条件に、業者に鑑定評価を委託し、6月に鑑定評価をもとにゴミの撤去費分を値引きした1億3400万円で学園に土地が売却された。

 野党などは、「大幅値引き」や売却を前提にした長期の貸付契約や、貸付料減額などの「特例措置」は、首相や首相夫人への「忖度」や、首相側近などの指示で行われたのでは、と国会で追及してきた。

 決裁文書の改ざんはその最中に行われ、学園側との交渉記録のほか、用地を視察したとされる昭恵夫人や複数の政治家の名前が削除された。

 23日に財務省が国会に提出した、当初「廃棄した」とされた交渉記録で、昭恵夫人付きの政府職員から優遇措置についての照会があったことが確認された。

 国有地取引での背任罪を立件するには、職員が自身や第三者の利益を図ったり、国に損害を与えたりする目的で、自らの任務に背き、実際に国に損害を与えたことを立証する必要がある。

 そういう意味で、「大幅値引き」などで国に損害を与えたかどうか、また損害を与えるという意識がどこまであったのかが焦点だ。

 この点では、会計検査院が値引き額の根拠になった「ごみの量」の算定について、推計の理由としたデータの根拠が不十分で「慎重な調査検討を欠いた」と指摘するなど、値引きの正当性を疑わせるいくつかの事実や証言が明らかになっている。

 28日の国会審議でも、近畿財務局が大阪航空局に対し、ごみの撤去対象範囲を広げよう提案し、その後、見積額が1.5億円増えて、売却価格が森友学園側の要望の範囲内に収まったことが明らかになった。またごみの撤去作業の過程でかなりのごみを運び出したかのように、森友側に「口裏合わせ」を求めていたことも財務省は認めている。

 しかし検察捜査についての情報は慎重な見方が多い。

 検察は、近畿財務局の職員が、国に損害を与える“意図”を立証するのは難しいという判断に傾いているとされている。