カリスマの利益相反取引に
翻弄される個人株主

 2月7日付のソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の発表によると、ソフトバンクグループは傘下の携帯事業会社ソフトバンク(以下「SB」)を東京証券取引所第1部に上場させる準備を始めたという。

 報道によると資金調達額は2兆円程度で、SBGは上場後もソフトバンク株の7割程度を保有し続け、約3割を投資家に売り出す計画とされている。

 ところで、SBGは、前期、もう一つの大きな転機を迎えた。

 今年度から同社の子会社が運営するソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)をSBGの財務諸表に連結したことだ。同社の平成30年3月期の決算短信によると、SVFは18年3月末現在で約977億ドル(約10兆7000億円)の規模に達し、その出資割合はSBGが325億ドル、サウジアラビアなど外部投資家が652億ドルとなっている。

 このうち、既に投資済みの金額が297億ドル(約3兆2000億円)なので、まだこれから投資が進んでいく。18年3月末にSBGの総資産は約31兆円、純資産は5.1兆円であるから、これに最終的に最大10.6兆円が連結される影響は極めて大きい。しかもSBGのSVFへの出資の一部は2016年7月に約3.3兆円を投じて買収した、英半導体設計大手のARM社の株を現物出資して賄うという。

 これらによってSBGは、約17兆円にものぼる有利子負債の削減が可能となり、SBG本体の信用力は増すかに思える。

 ではSBGの株主はこれらの動きを歓迎すべきなのだろうか。東証が定めるCGCの1番目の項目は、以下のようになっている。

「上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。
 また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである」

 SBGは、ソフトバンクの上場後も、70%程度の株式を継続保有するという。いわゆる「親子上場」だ。