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熱狂のサウス・バイ・サウスウエスト2012レポート
注目は人探しアプリ「Highlight」とバーチャル冷蔵庫「Pinterest」
――熊坂仁美・ソーシャルメディア研究所代表

熊坂仁美 [株式会社ソーシャルメディア研究所代表取締役]
2012年4月13日
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 彼は企業の依頼で写真を撮るのではなく、完全独立系のフォトグラファーだ。彼のブログStuck in Customs.comは彼の作品のギャラリーであると同時に、HDRマニュアルやプリント写真の販売などのキャッシュポイントを持っている。

 自分の作品、それも高解像度の写真データをブログのリンクとともに毎日、ソーシャルメディアに投稿し、ソーシャルメディアからブログにアクセスを集めることで収益を生んでいる。月間のアクセス数は約70万。そのうちPinterestからの誘導が全体の15%もあるという。つまりPinterestがなかったら、アクセス数は15%減。TreyにとってPinterestは自分の作品を広め、売上につなげる重要なメディアなのである。

 「フォトグラファーは、著作権の問題でPinterestを嫌う人が多い。私も写真を無断でプリントされるのが怖くないの?と同業者によく聞かれます。でもそれは古い考え方です。もし、私のファンが自分の楽しみのためにプリントするなら、それはむしろ良いことだと思っていますし、世の中のほとんどの人は良識的です。私の写真を使用したいのなら、ちゃんと正規のルートを踏んでくれるし、プリント写真も買ってくれます。オープンに写真をシェアすることで、たくさんの人が私の写真を見てくれるようになりました。99%の人は見るだけですが、1%の人はお金を払ってくれるのです」

 最後に彼はこう結んだ。「もうNew Worldは始まっています。旧来のやり方、考え方は捨てるべきなのです」

この変化は日本にもすぐに訪れる
「NEW WORLD」はとっくに始まっている

 最先端の人と情報が集まるSXSWで強く感じたのは、ソーシャルメディアはもう完全にインフラになっているということだ。FacebookやTwitterによって、誰もが自分のつながりネットワークを持つようになった。そのネットワークの上で、個人も企業も日々何かをシェアしている。シェアすることでつながりが強まり、広がっていく。そして今、近くにいる人、興味が近い人とも簡単につながれるようになった。日々増え続ける無数のつながりと無数のシェア。ここには国境も地域も国籍もない。これまでの社会構造と全く違うソーシャルな世界が出現しているのだ。

 これは決して、最先端の人たちの特殊な話ではなく、今、私たちの目の前にあることだ。そのことに目を向け、頭ではなく身体で変化を感じよう。Treyの言う「New World」は、すでに日本でも始まっているのである。

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熊坂仁美
[株式会社ソーシャルメディア研究所代表取締役]

株式会社ソーシャルメディア研究所代表取締役。Facebookをはじめとしたソーシャルメディアのビジネス活用の実践研究家。定期的に渡米し、最新のソーシャルメディア動向をチェックしている。企業のソーシャルメディア導入および運営のコンサルティングを行う傍ら、ソーシャルメディアのビジネス活用についての企業研修や講演を 全国で行っている。独自理論「好感アクセス収益モデル」と海外事例の研究をまとめた『Facebookをビジネスに使う本』(ダイヤモンド社)は、Facebook、Twitter、YouTubeでの口コミにより発売前からアマゾン部門1位を取り、ベストセラーとなる。 「Facebook使い方実践講座」はこちら

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