文明を逆行する日本人
4月といえば花見シーズン。読者の皆さんも、花見を満喫されたことと察する。海外に住む私には無縁な話。うらやましい限りだ。
花見を楽しむべく、この時期に日本を訪れる外国人観光客も多い。特に中国人は桜が大好きなようで、私の周りにも「日本に行ってきましたよ」という知人が何人かいた。
先日、日本から帰国したばかりの友人と上海で会った。彼女は私に日本での花見の感想をフィードバックしてくれた。
「なんだか異様な雰囲気でした。飲み干したお酒の空き缶を遠くへ放り投げたり、急に喧嘩を始めたり、管理人さんと言い合いを始めたり、酔った挙句道端に寝転んだり、大声で怒鳴ったりという男性が少なくありませんでした」
目の前に座る彼女は、腑に落ちないといった表情を浮かべながら続ける。
「すべての日本人があのような行動をとるわけではないし、依然として秩序が保たれた公共の空間はたくさんあります。ただ、東京で花見の現場を見たときには、正直、中国の地方都市にでも来たのかと錯覚に陥りました」
考えさせられるコメントだ。
日本にいる知人に実際の様子を聞いてみると、「花見と秩序・マナー」について話題になっているという。「節度を守ろう」、「ゴミは持ち帰ろう」、「花見をする公園のルールを守ろう」、などと呼びかけられてはいるようだが、なかなか守られていないのが現状のようだ。
「公園で警備員による持ち物検査、騒ぐ客への注意、見回り強化など、公園管理者による締め付けが強化されているようですよ」と知り合いのメディア編集者も教えてくれた。
締め付けの強化? 日本は文明を逆行しているのか? なんだか中国での状況を聞いているようだ。
国民の自立心、自律性、公共意識が低い社会において「締め付け」は一つの手段として用いられる。中国は都市・農村問わず、まだまだ締め付け社会だ。