公文書改ざんの真相
佐川氏の「指示」は曖昧

 民主主義の根幹を揺るがす背信行為として国民の憤激を招いた決裁文書の改ざん、廃棄についても、検察は、偽造・変造罪は作成権限者の了解の下に作成したと認められるため成立しないうえ、虚偽公文書作成罪についても、交渉経緯などが削除されたことで事実に反する内容の文書になったとは認められないため成立しないと、判断。佐川氏以下告発された全員を不起訴とした。

 こうした検察の判断を受ける形で財務省は4日、改ざんについての調査結果を公表し、退職した佐川氏を改ざんの「主役」と認定して「停職相当(3か月)」に、改ざん実務の中心的役割を果たした理財局総務課長を「停職(1か月)」とするなど20人の職員に対する懲戒や内規に基づく行政処分を行い、幕を引いた。

 関係者によると、事実は調査結果と少しニュアンスが異なる。改ざんの経緯は以下のようなことだったという。

 国有地の格安売却疑惑が発覚し、国会では野党による理財局幹部に対する厳しいヒアリングが続いた。国会対策を担う総務課長らは、追及をかわすため、佐川氏の国会答弁との整合性をとり、国有地処分の正当性を主張するため、財務省側のストーリーに合わせて、決裁文書を改ざん、廃棄することを思いつく。

 総務課長から相談を受けた佐川氏は、行政文書の法的意味合いを深く考えず「外に出すのなら、こんなものは出せないのじゃないか」と発言したという。

 総務課長は、それを口実に「局長の指示」があった、として、近畿財務局の担当者らに文書の改ざん、廃棄を指示するメールを送った。それが、財務省内に佐川氏の「指示」という話が拡散した原因だったという。検察も同様の事実関係を把握している模様だ。

 だとしても、部下の公文書の廃棄、改ざんを明確に認識したあとも、止めなかった佐川氏の責任は重大であり、許されるものではない。職責上「主犯」と認定されても仕方がないと思うが、日本的な組織力学の中で佐川氏ひとりが「ヒール」とされ、メディアや国会で袋だたきに遭うのは、ちょっと気の毒な気がする。

国民の期待と検察の実態の乖離
「巨悪摘発」時代の捜査モデルは破綻

 新聞に掲載された川柳に象徴される、検察に対する国民の不満は、裏返せば検察に対する期待が大きいということでもある。