なぜ40歳のお金の貯め方は、35歳と同じではいけなくなるのか?
アロケーション調整のタイミングは、「3年おきの1月1日」とか「5年ごとの誕生日」というように、あらかじめスケジュールを決めておき、その日が来たら価格は見ずに機械的に遂行するのがベストです。積立もリバランスもアロケーション調整も、いちばんの敵は感情ですから、極意は機を見ることなく、自動的・機械的に行うことなのです。
【執筆者紹介】
岩崎淳子(いわさき・じゅんこ)
ファイナンシャル・プランナー/米国公認会計士/パーソナル・ファイナンシャル・スペシャリスト(CPA/PFS)/
Smart & Responsible代表。上智大学ドイツ語学科を卒業後、NTTに入社。米パデュー大学大学院 経営科学修士。ガートナーなど外資系IT企業にて、マーケティング戦略やアナリスト業務を経験したのち、2000年、夫の転職を機に米バージニア州に移住し、2歳児の子育てと家事を担当する専業主婦へと転身。大学で工学を教える夫が、家計に関わる余裕がなかったことから、自身の役割を「一家を支えるCFO」と再定義。仕事で培ったリサーチ・分析の能力を武器にしながら、独学でCPAとPFSの資格を取得。2011年、自身の苦労した体験に基づき、個人向けファイナンシャル・プラニングを行う「Smart & Responsible」を立ち上げ。主婦と専門家の2つの視点から、効率的な家計システム構築のヒントをアドバイスしている。現在、米カリフォルニア州在住。聖書をこよなく愛するクリスチャン。初の著書『
お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』を出版。
『最高の家計』担当編集からのメッセージ
──お金のことなんて考えたくないあなたへ
本記事をお読みいただきありがとうございました。
『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』の担当編集です。
みなさん、お金はほしいですか?
「はい! もらえるならもちろん!!」──僕はそう答えます。
しかし、「どれくらいお金が好きか?」と聞かれると、じつはあまり自信がありません。
もちろん給料が上がったりボーナスが多めに出たりすれば、しばらくはホクホクした気持ちになりますし、これまで編集者として経済やファイナンスに関する本もいくつか手がけてきました。
現在の年齢は36歳で、家には妻と2人の息子(5歳と3歳)がいますから、まだまだこれからたくさんのお金が必要になりそうです。そういう意味で、お金にまったく興味がないわけではないのだと思います。
一方で、世の中には「ほんとうにお金が大好きな人」がいます。
いつも預金残高や株価チャートとにらめっこしている人、残業代を稼いで給料を増やしたい人、不動産で副収入を得ている人、いち早く仮想通貨ブームに飛びついた人……。
そういう人とお話ししていると、「あ、自分はそれほどお金に愛着があるわけではないのかも……」と気づかされます。
世間の空気に流されたり、友人から年収を聞かされたり、家族が増えてきたりした結果、なんとなくお金がほしい気分になってはいるものの、べつに「お金そのもの」が好きなわけではないのです。
実際、わが家の家計管理は妻に任せっぱなしです。
「ときどき思いつきで家計に口出ししてはイヤな顔をされる」というパターンを繰り返しています。
「できれば、お金のことなんて考えずに暮らしたい」
そう思っている僕は、ちょっとヘンなのでしょうか? いや、じつは同じ感覚をお持ちの方は、けっこういらっしゃるんじゃないかと思います。
お金以上に好きなもの・大切なものがある人は、「お金のことを考える時間」に貴重な人生の時間の一部を奪われたくないはずです。
預金残高や家計簿、相場の値動きなどを見て一喜一憂する日々を送るなんて、ほんとうにまっぴらなのだと思います。
「べつに投資で儲けたいわけじゃない。損するのは絶対イヤ……」
「投資用の不動産を買う? そこまでのリスクは取れないなあ……」
「でも家計簿とかコツコツ節約するとかは、正直言ってダルいな……」
「……というか、いつも仕事が忙しいから、そんなヒマがないんですよ!」
「……だけど、だからって、このまま“銀行口座にほったらかし”でいいのかな……」
『最高の家計』は、そんな気持ちが心の片隅に顔を出している人のためのお金の本です。
「お金が大好き!」というわけでは“ない”人のための「いちばん手堅くお金が貯まって、かつ、いちばん手間がかからない、家計のしくみづくり」の教科書です。
「そんな都合のいい話があるんですか?」
そう感じる人もいるかもしれません。岩崎さんからお話を聞いたとき、僕もそう思いました。
彼女に言わせれば、とんでもないお金持ちでもない限り、“ふつうの家計”がやるべきことはたった1つ――。
「年1回以下のメンテナンスで、自動的にお金が増えていく『システム』をつくること」
それさえやってしまえば、あとはジタバタせずに「何もしない」のがいちばんだといいます。
とはいえこれは、きわめて王道的な方法です。
ある種の“飛び道具”や“裏ワザ”を期待されている方にはおすすめできません。
「お金から自由になるためのお金の本」として企画した一冊ですから、この先もう二度とお金の本を読まなくてもいいように、「これだけで全部わかる!」ことを目指して編集しました。
ぜひ本書を通じて、「ほんとうに大事なこと」に振り向ける時間を増やしていただければと思います。